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【女子ゴルフ】重圧なし15歳 勝、最年少V 国内女子ゴルフツアー記録更新
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史上最年少で優勝し、グリーンジャケットを着せてもらう勝みなみ。15歳の高校1年生が歴史を塗り替えた=2014年4月20日、熊本県菊池郡菊陽町・熊本空港カントリークラブ(中川春佳撮影) 女子ゴルフ界に15歳のニューヒロインが誕生した。熊本県菊陽町の熊本空港カントリークラブで4月20日に最終ラウンドが行われた女子プロゴルフツアーのKKT杯バンテリン・レディースで、鹿児島高1年のアマチュア、勝みなみ選手が国内女子ツアー最年少記録を大幅に更新する15歳293日で優勝した。アマチュアの優勝は史上4人目で、スコアは通算11アンダーの205だった。これまでの最年少記録は2012年のサントリー・レディースを制した金孝周(キム・ヒョジュ、18)=韓国=の16歳332日。宮里藍(28)が宮城・東北高3年だった03年に樹立した18歳101日の日本人最年少記録も塗り替えた。
「自分の体じゃないみたいだった。何も考えずに回っていた気がする。最終ホールでは緊張したけれど、それまでは全然緊張しなかった。予選通過を目標にしていたので、まさか優勝できるとは思わなかった」
勝選手は試合後、臆することなく堂々と優勝の喜びを語った。この日は首位と1打差の2位で出て、5バーディー、1ボギーの68で回り、逆転した。1打差の2位にイ・ボミ(韓国)、通算7アンダーの3位に李知姫(韓国)が入り、前日首位の福田真未は75とスコアを落とし、5アンダーの6位だった。
鹿児島市出身の勝は、祖父、市来龍作(いちき・りゅうさく)さん(74)の影響で6歳からゴルフを始め、得意クラブはドライバー。鹿児島・長田中2、3年時に「全国中学校選手権春季大会」連覇。レギュラーツアーは今回が12試合目で、これまでの最高成績は13年「スタジオアリス女子オープン」の12位だった。
それにしても、一日を通じてもっともあがったのは優勝スピーチで、ラウンド中に緊張したのも最終18番だけだというから恐れ入る。周囲の雑音を重圧とせずに15歳で優勝し、あこがれる宮里藍の記録も更新した。勝選手は「実感が湧かない。時間がたてば、すごくテンションが上がるはず」とにっこり笑った。
ゴルフの師である祖父の市来さんは、グリーン上で優勝スピーチをする孫娘に温かい視線を送り、「80歳になるころには優勝してくれるかなと思っていた。6年早かった」と喜びをかみしめた。
勝選手にプロのコーチはいない。ともにプロ野球阪神タイガースの大ファンで、ゴルフが趣味の市来さんと一緒に、ラウンドや練習を重ねてきた。前日の第2日で2位につけたことで、孫のゴルフを見続けてきた市来さんは「これは、みなみなら優勝する」と確信していたという。
母の久美さん(47)によると、勝選手は「トランプで負けても悔しがる」。負けず嫌いの娘は、トッププロたちを相手に見事頂点へたどり着いた。久美さんは「本当によくやった」と目を細めた。
勝選手は優勝スピーチで「両親、おじいちゃんのおかげ。あとでお礼を言いたい」と感謝の気持ちを述べた。それを聞いた市来さんは「私の能力、知識では教えることはもうできない。元気で明るいゴルファーになってほしい」と穏やかに笑った。
将来のプロ転向や2020年東京五輪へ向けても、期待は膨らむ。一躍、注目を浴びる立場となったが、勝選手は「自分はプレッシャーを感じない方。(これからも)いつも通りラウンドする」と、平然とそして力強く話した。(SANKEI EXPRESS)