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春には脳に効く運動を 大和田潔

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春には脳に効く運動を 大和田潔

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 【青信号で今週も】

 脳が体の運動の指令を出していることはよく知られています。たとえば、右に脳卒中を起こすと左の片まひといって、左の顔や手足のまひが起きます。左の脳にトラブルがあれば、右の体に変調が起きてきます。神経の線維(せんい)は、脳の下の方で左右が交差します。脊髄にそのまま神経線維が降りてきます。そのため、トラブルを起こした脳とは左右は逆の側にまひが起きてきます。脳卒中は身近な病気なので、ご家族のリハビリテーションに付き添われた経験をされた方も多いでしょう。

 このコラムで、以前「筋肉からの美しい伝令イリシン」(2013年9月23日)という文章をお書きしたことがあります。これまで、脳の指令を受けて伸びたり縮んだりして力を出すだけだと考えられていた筋肉が、実はホルモンを分泌する臓器でもあることが判明しました。

 筋肉から放出されたホルモンは、褐色脂肪という燃えやすい脂肪に変えます。筋肉自身がエネルギーを得やすいように、脂肪組織に伝令を飛ばしているようにも見えます。運動することは、カロリーを消費するだけでなく、脂肪組織を燃えやすい形に変える力もあるわけです。

 年始に、朝田隆筑波大学教授が率いる研究者グループが、運動が認知症予防に有効かどうかの大規模な研究に着手することが発表されました。これまでは、認知症にならずに年を重ねている人々の生活習慣を解析するといったことが研究されてきました。今回は、あらかじめ登録された方々の運動習慣と、今後起きるかもしれない認知症発症の度合いを数多くの方々で調べることにしています。

 もともと、筋肉と神経は持ちつ持たれつの関係にあります。胎児の発育段階で、筋肉と連携をとれなかった脊髄の神経細胞が間引きされて消失していきます。また、運動が脳に刺激を与え、覚醒度を上げて活性化させることも広く知られるようになりました。こう考えると、運動はどうやらメタボリックシンドロームの治療や予防だけでなく、脳を健やかに保つためにも役立ちそうです。徒歩を増やし、階段を使うのも良いでしょう。

 春です。脳のために少し運動を始めてみましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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