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科学
ホタルイカとコレステロール 大和田潔
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ホタルイカがおいしい季節になりました。春の季語でもあるホタルイカは、化学物質の反応を使って美しく発光します。天敵に暗い海中から見上げられても、空の明るさで影にならないようにおなか側が発光するといわれています。また、多くのホタルイカが波打ち際へ打ち寄せる様子は「身投げ」と言われ、青白く波が輝いているように見える絶景となります。
ホタルイカは、寄生虫を殺すために加熱もしくは冷凍することが必要です。「イカやタコは魚介でもコレステロールが高いから食べ過ぎない方が良い」と聞いたことがあるかもしれません。コレステロールは、動脈硬化を起こす主役とされてきました。
実は、血液中のコレステロールのほとんどは肝臓で作られるもので、食物由来のコレステロールの影響は少ないことが知られています。採血で「コレステロール」と呼ばれるものは、多くは総コレステロールを指します。悪玉のLDLコレステロールや善玉のHDLコレステロールという分類も聞いたことがあるかもしれません。また、「中性脂肪が高いですね」と言われたことがある方も多いかもしれません。中性脂肪は、腸から吸収され、血液中を流れる脂質です。お酒を多く飲む方は、中性脂肪とともに、γ(ガンマ)-GTPという肝臓由来の数値も上昇していることがよくあります。
その中性脂肪などを原料として、肝臓はLDLを作ります。LDLは、体のさまざまな臓器でエネルギー源として利用されます。血管には、LDLを吸収するための受け皿があります。LDLが過剰になって、血管に取り込まれ過ぎると炎症が起きてきて動脈硬化につながります。一方、HDLは、古くなった脂質をお掃除した結果のコレステロールです。
見方によっては、LDLは新鮮な脂質で、HDLは古い脂質となります。善玉悪玉と割り切れるものではありません。コレステロールは、細胞を包む細胞膜や、さまざまなホルモンを作る原料であり、生命維持に必須です。食事に含まれるコレステロールより、余剰なエネルギーによるコレステロールの合成過剰が問題となります。春の風に誘われて運動しながら、安心して春の食材を楽しみましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)