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【世界自転車レース紀行】(14)フランス 若手集結 春の風と駆ける

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【世界自転車レース紀行】(14)フランス 若手集結 春の風と駆ける

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春のフランス・ノルマンディー地方で開催された「ラ・コート・ピカルド」。黄色く染まった菜の花畑を越えていく=2014年4月(田中苑子さん撮影)  4月16日、フランス・ノルマンディー地方で「ラ・コート・ピカルド」が開催された。12日にベルギーで開かれた「ロンド・ファン・フラーンデレンU23」、さらに19日、オランダでの「ZLMツアー」と合わせて、国際自転車競技連合が主催する23歳未満のシリーズ戦「ネイションズカップ」に組み込まれ、世界各国の若い代表選手が集結する世界選手権のようなハイレベルな大会だった。

 3大会ともに、15位以内でゴールするとポイントが与えられ、1ポイントでも獲得できれば、世界選手権への出場権が自動的に獲得できる。ほかにも大陸別の選手権での成績などから出場枠を獲得する方法はあるが、ネイションズカップでのポイント獲得が世界選手権への近道となるのは間違いない。

 また世界トップの大会であるため、プロをめざす若い選手の登竜門として、世界各国のナショナルチームが重要視する大切な大会でもある。

 そして、そこに日本からもナショナルチームが参加した。1990年全日本選手権優勝、その後ヨーロッパでの選手生活を経て、監督に転向後も多くのトップ選手を育てた実績をもつ浅田顕監督のもと、7選手がナショナルチームに招集された。自転車ロードレース競技の後進国である日本にとって、厳しい世界への挑戦となるが、チームは3月からヨーロッパで遠征を行っている。

 23歳未満の若い世代は、2020年の東京五輪で主戦力になるはずの世代だ。また昨年、23歳未満のカテゴリーで日本は世界選手権への出場枠を逃しており、日本自転車競技連盟はその世代の強化を図りたい背景もある。

 ≪「壁」実感… この悔しさをバネに≫

 結果的にネイションズカップ3戦を通して、日本ナショナルチームは誰一人15位以内でゴールすることができず、今回はポイントを獲得できなかった。世界選手権へ出場する道は他にもあるが、今回の遠征を通じて、世界との差を痛感する結果となり、浅田監督は「世界との壁は1つではなく、2つくらいあるように思う」と振り返る。

 もっとも惜しかったのは、第2戦「ラ・コート・ピカルド」で、10位以下の集団に日本人選手2選手が含まれ、そこからエースを託された黒枝士揮(しき)(ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ)が、面手(おもて)利輝(EQA U23)の絶妙なアシストのもと、5番手からゴールスプリントを仕掛けた。しかし、周りの選手の蛇行により、接触して転倒。ポイント圏内の15位は確実と思った矢先の出来事に選手たちは大きな悔しさに包まれた。

 しかし、世界で15番というトップ争いにチームとして挑むことができたことに、結果にはつながらなかったものの手応えをつかんだのも事実だ。

 今回の遠征でチームのキャプテンを託された23歳未満の全日本チャンピオン、徳田鍛造(鹿屋体育大学)は、「自分たちが思い描いていたことができず、悔しさばかりの結果だった。ふだんはそれぞれ別のチームに所属しているメンバーだけど、それぞれに違う持ち味があり、かつ世界選手権の枠を獲得するという同じ目標に向かって一致団結し、チームとしてはとてもいい雰囲気だった。もっとこのメンバーで戦いたい」と話す。

 4月25日のイタリアのレースをもって今回の欧州遠征は終わり、選手たちは帰国する。また夏に欧州への遠征が予定されているが、若い日本人選手たちはここで得た経験や全員で味わった悔しさをバネに、より一層の強い意志のもとで世界への挑戦を続けていく。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子/SANKEI EXPRESS

 ■たなか・そのこ 1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。08年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかな自転車レースを追っかけ中。

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