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理研、STAP論文「再調査せず」不正確定 「故意」は「悪意」 小保方氏をバッサリ

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理研、STAP論文「再調査せず」不正確定 「故意」は「悪意」 小保方氏をバッサリ

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STAP細胞論文の調査結果に対する不服申し立ての審査結果に関する会見に臨む、調査委員会の渡部惇委員長(左から2人目)ら=2014年5月8日、東京都墨田区(三尾郁恵撮影)  新型万能細胞「STAP細胞」の論文不正問題で、理化学研究所の調査委員会は5月8日、小保方晴子(おぼかた・はるこ)・研究ユニットリーダー(30)が求めていた再調査は不要との報告書をまとめ、理研の理事会に報告した。これを受け理研は再調査しないことを決定、小保方氏の不正を認定した調査委の最終報告が確定した。

 調査委は小保方氏から提出された追加資料などを検討した結果、不正認定を覆す新たな証拠はなく、再調査は不要と判断した。理研は8日の理事会で調査委の報告書を了承、再調査しないとの結論と論文の撤回要請を小保方氏側に伝えた。

 理研の規定では、小保方氏が再度、不服を申し立てることはできない。理研は8日設置した懲戒委員会で小保方氏ら関係者の処分を決める。

 小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は「非常に不服」と不満を示した。小保方氏はショックを受け絶句したという。論文は撤回しない意向を示しているという。

 調査委は4月1日に発表した最終報告で、小保方氏の博士論文の関連画像の流用を「捏造(ねつぞう)」、DNAの解析画像の切り張りを「改竄(かいざん)」と認定。これに対し小保方氏は悪意のないミスで不正ではないとして4月8日、不正認定の撤回と再調査を求めて不服申し立てを行い、調査委が再調査を実施すべきか審査していた。

 調査委は報告書で画像の捏造と改竄を改めて認定。いずれも意図的な行為だったとして、悪意は明らかだとした。「聞き取りが不十分」とした小保方氏の主張も「弁明の機会は十分に与えた」と退けた。

 小保方氏らは1月、STAP細胞の論文を英科学誌ネイチャーに発表。革新的な万能細胞として世界的に注目されたが、論文が撤回されると研究成果は白紙に戻る。

 ≪「故意」は「悪意」 小保方氏をバッサリ≫

 理研の調査委は5月8日の報告書で、小保方晴子氏による捏造と改竄を改めて認定した上で、研究不正の規定における「悪意」は「故意」と同義だとし、悪意を持って行われた不正と断じた。また、STAP細胞の論文が英科学誌ネイチャーに掲載される前に、小保方氏が同様の論文を米科学誌サイエンスに投稿し、画像の加工を指摘されていたことも明らかにした。

 画像の由来確認せず

 捏造とされたのはSTAP細胞の万能性を示す重要な実験結果の画像。小保方氏が2011年に早稲田大に提出した博士論文の関連画像から流用した。小保方氏はコンピューターソフトでデータを上書きしながら画像を作り続けており、単純ミスで取り違えただけと主張し、掲載すべきだった本来の真正な画像もあると反論していた。

 これに対し調査委は、博士論文の関連画像は異なる実験条件で得られたものだが、小保方氏は「非常にきれいな写真」として、こだわっていたことがうかがえると指摘。異なるデータを間違えて使用する危険性を含む不正行為とした。

 小保方氏が主張した本来の画像は実験ノートなどから作製時期を特定できず、「起こるべくして起きた事態を事後的に修正しようとするもの」とした。

 間違った画像を論文に使用する恐れがあることは研究者であれば誰でも認識できるのに、小保方氏が画像の由来を確認をしていないのは悪意に当たるとした。

 一方、改竄とされたのはDNAの解析画像の一部を切り取って大きさを引き延ばし、別の解析画像に挿入した切り張り行為。小保方氏はデータを見やすくするための加工で、不正ではないと主張していた。

 調査委は切り張りでデータの正確な情報が失われたと指摘。加工は数理的解析などの科学的手続きによらず目視で行われ、データの誤った解釈へ誘導する危険性の認識があったと言わざるを得ないと判断した。

 米科学誌からも加工指摘

 小保方氏は切り張りを「やってはいけないとの認識がなかった」とも主張していた。しかし、調査委の報告で、STAP論文の投稿前に切り張りが不適切な行為だと指摘されていた事実が明らかになった。

 小保方氏はSTAP論文と類似の論文を12年7月、サイエンス誌に投稿したが、サイエンス誌の査読者からDNA解析画像の切り張りについて、切り張りした画像の間に線を入れて区別する修正を行うよう指摘されていたという。この画像は不正認定されたものと同じ種類とみられる。

 調査委はネイチャー誌にSTAP論文を投稿する13年3月までに、小保方氏が切り張りが不適切だと認識していたはずと判断。査読者のコメントに全く目を通していなかったとする小保方氏の説明に合理性は認められないとした。

 一方、小保方氏は「調査は短期間で聞き取りも不十分」と主張していたが、調査委の渡部惇委員長は「本人の説明を十分聞き、弁明の機会は十分に与えられた」と述べ、必要な調査は行ったとした。(SANKEI EXPRESS

 【理研調査委員会と小保方氏弁護団の顔ぶれ】

 ■調査委員会

渡部  惇:委員長、弁護士。元検事、企業の法令遵守問題の第一人者、理研の遺伝子スパイ事件調査チーム長

岩間 厚志:千葉大教授(幹細胞生物学)

古関明彦:理研副センター(遺伝学)

真貝 洋一:理研主任研究員(ゲノム生物学)

田賀 哲也:東京医科歯科大副学長(幹細胞生物学)

石井 俊輔(辞任):前委員長、理研上席研究員(分子遺伝学)

、2004年の論文不正調査委員

 ■弁護団

三木 秀夫:阪急阪神ホテルズのメニュー偽装表示問題で第三者委員会委員

室谷 和彦:知財問題に詳しい

片山登志子:消費者問題の専門家

藪野 恒明:元大阪弁護士会長

 ※敬称略

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