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身体言語で「非日常の舞台」を 「印象派NEO VOL.2 灰かぶりのシンデレラ」 夏木マリさんインタビュー

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身体言語で「非日常の舞台」を 「印象派NEO VOL.2 灰かぶりのシンデレラ」 夏木マリさんインタビュー

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大胆に刈り上げたヘアスタイル。耳にはスタッズ(鋲)を連ねたイヤーカフ。夏木マリさんにはアバンギャルドとエレガンスが共存する=2014年5月23日、東京都内(大山実撮影)  夏木マリ(62)が企画から演出までを手掛け、ライフワークとして取り組む舞台「印象派」シリーズの新作「印象派NEO VOL.2 灰かぶりのシンデレラ」が6月12日から、世田谷パブリックシアター(東京)で上演される。

 「創りたいのは非日常の舞台」と夏木。セリフでストーリーを展開する日常的な演劇ではなく、肉体を使った「身体言語」による表現をとる。音楽や、さまざまなダンスを融合させ、前衛的で、新しい「シンデレラ物語」を見せる。

 夏木が言葉による演劇スタイルを離れた「印象派」を始めたのは1993年。身体性を意識するようになったきっかけは2つあった。1つは89年、水戸芸術館の劇団ACMで演出家、鈴木忠志から身体感覚を研ぎ澄ます演劇訓練を受けたこと。2つめは92年、英演出家、スティーブン・バーコフの演出でカフカ作の舞台「変身」に立ったこと。「鈴木さんの稽古はとても過酷でしたが、体を使う面白さに目覚めました。バーコフさんはまさに身体言語による表現で、スタイリッシュでしたね」

 ガラスの靴は「計算」

 一人舞台から出発したが、2009年に「印象派NEO」としてからは、「いろんな身体言語があったほうが面白い」と結成した表現者の集団「マリナツキテロワール」と舞台に立つ。メンバーは5年間、年2回のワークショップで身体言語を研ぎ澄ましてきた。シンデレラ役には「圧倒的に美しい身体言語を持つ」(夏木)というバレエダンサー、西島千博(にしじま・かずひろ、42)を起用。夏木は継母として立つ。誰もが知る童話世界を、夏木はオリジナルの解釈で構成したい、という。

 「シンデレラは普通の女の子。ガラスの靴は脱げたんじゃなくて、彼女の計算。夢をつかみとるためには、そのための努力しなきゃだめよね、っていうことをベースにおいてできたら」

 台本はなく、夏木が抱くイメージやコンセプトを、毒とユーモアをはらんだダンスで知られる振付師・井手茂太が振り付けて、夏木が手を加えるワークショップ的なスタイルで舞台を組み上げていく。

 ある日の稽古場では、あるキャストに「もっと身体感覚を使いなさい」と夏木の声が飛んでいた。言われたキャストは、フロアの隅で一人、内面から肉体の言葉を引き出そうとしていた。「印象派はあくまで自己表現の探求。誰かに言われたことを演じるのではありませんから」

 「印象派」の名は、過去の手法に反抗し新たな表現を開いた19世紀の画家たちの反骨心に共鳴したから。今回、夏木も新たな表現を開くつもりだ。例えば、冒頭の舞踏会のシーンはモダンでアバンギャルド。「昨年フジロックに行き夜通し踊ったら楽しくて」という体験から着想を得た。さてどんな舞踏会を見せるのか。(文:津川綾子/撮影:大山実/SANKEI EXPRESS

 ■なつき・まり 1952年、東京都生まれ。73年、「絹の靴下」で歌手デビュー。80年代から舞台活動にも取り組み、芸術選奨文部大臣新人賞、紀伊國屋演劇賞個人賞、ゴールデンアロー賞演劇賞など受賞。2006年ブルースバンド「ジビエ ドゥ マリ」を結成。俳優、ミュージシャン、ディレクターなど多方面で活躍する。

 【ガイド】

 ■「印象派NEO VOL.2 灰かぶりのシンデレラ」 6月12~15日。世田谷パブリックシアター(東京)。サンライズプロモーション(電)0570・00・3337

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