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指導者の個性「世界動かす」 大統領選布石? ヒラリー氏が回想録

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指導者の個性「世界動かす」 大統領選布石? ヒラリー氏が回想録

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 ヒラリー・クリントン前米国務長官(66)が在任4年間を振り返る回想録「困難な選択」が6月10日、米国などで発売された。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)や中国の胡錦濤(こ・きんとう)前国家主席(71)ら、かつての外交交渉の相手を辛辣(しんらつ)に批評。「外交の場では、良くも悪くも、多くの人が思っているより個人的な要素が重要だ」と振り返り、指導者の個性が国と国との関係を大きく左右するという実体験をつづった。最新の米世論調査で国務長官時代の仕事ぶりを59%が支持し、69%が「強い指導者」と評価するクリントン氏。欧米メディアは回想録の発売を2016年の米大統領選に向けた出馬準備の始まりとの論調で報じている。

 皇后陛下と再会「栄誉」

 クリントン氏は08年11月の大統領選に出馬したが、民主党の指名獲得争いで現職のバラク・オバマ氏(52)に小差で敗れた。しかしオバマ氏は、ライバルを要職に抜擢(ばってき)する人事手法をとり、クリントン氏を国務長官に指名した。

 国務長官として4年間に112カ国を訪問したクリントン氏だが、フランス通信(AFP)によると、米外交当局のトップに立った彼女にとって最も手ごわい相手がロシアのプーチン大統領だった。

 600ページを超える回想録ではそんな彼をソビエト帝国の復活にこだわる「怒りっぽくて横暴」な独裁者と表現。「いつも人を試し、境界線を押し広げてくる」「ソビエト帝国の復活と国内の反対意見の弾圧に固執していなければ、ロシアは長期的な戦略上の利益を得られたはずだ」と分析した。

 また、中国の胡錦濤前国家主席は、プーチン大統領ほど明確に闘争的ではなく、より「台本通り」で「礼儀正しい」が、かつて中国の最高指導者だった●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)氏(1904~97年)のような「個人としての権威」が欠けていたと指摘。「実務を取り仕切る最高経営責任者(CEO)というより、よそよそしい取締役会長のように見える」と揶揄(やゆ)した。

 欧州各国の首脳では、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(60)を「欧州でもっともパワフルな指導者」と高く評価。「彼女は欧州を双肩に背負っている」と敬意を込めた。

 日本に関する記述は多くないが、長官就任後初の外遊として2009年2月に来日した際、皇居で皇后陛下と再会したことに触れ、「めったにない栄誉」と喜んだ。回想録には皇后陛下と手をつなぐ写真も掲載されている。また安倍晋三首相(59)の女性支援策を紹介し、各国も続いてほしいと訴えた。

 退任後初の全米ツアー

 そんな彼女はこの回想録のPR活動として、長官退任後初めて全米各地を回る。このため、2年後の大統領選に向けてクリントン氏が出馬準備を始めたとの観測が強まっている。ただ、本人は9日放映された米ABCテレビのインタビューで、11月の中間選挙の応援もしたいと表明。「それから深呼吸して、プラス面とマイナス面を見極めたい」と述べ、大統領選出馬の決断は早くても年末になるとの見通しを示した。

 民主党内でのクリントン氏の人気は依然高い。米紙ワシントン・ポストとABCテレビが(6月)8日に発表した合同世論調査によると、次期大統領選の民主党候補としてクリントン氏を支持したのは66%に上り、2位のジョー・バイデン副大統領(12%)を大きく引き離した。

 回想録では、大統領選出馬について「未定」と記したクリントン氏だが、その末尾は「もうひとつの『困難な選択』の時は、すぐにやってくるでしょう」と思わせぶりに締めくくられており、支持者を喜ばせている。(SANKEI EXPRESS

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