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【ブラジルW杯】世界の人々を魅了 MLB戦士も W杯が見たい
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アリゾナ・ダイヤモンドバックスの外野手、デビッド・ペラレタはベネズエラ出身の26歳。今月(6月)1日にメジャーリーグに昇格したばかりのルーキーだ。
この日はホームのチェイス・フィールドでのミルウォーキー・ブルワーズ戦。試合前の打撃練習時のひとこまだが、ペラレタが見上げるセンター後方の大画面ではブラジルで開催中のワールドカップ(W杯)、米国-ガーナ戦が中継されていた。
ベネズエラは野球が盛んな国だが、ペラルタはサッカー大陸南米の子でもある。W杯の様子が気になってしかたがないようだ。ただし野球でも頑張っている。この日の試合では4打数2安打1打点。ルーキーはW杯に心を奪われながらも、やることはやっている。
サッカー好きで知られる中国の習近平国家主席は、マラカナンで決勝戦を観戦する。2日後に開かれる新興5カ国首脳会合に出席するためブラジル入りするのだが、当初は春開催の予定だった会合日程をW杯に合わせたのは中国側からの要請だったという。中国では観戦による寝不足、疲労から複数の死者が出ている。
過去には●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)氏も寝不足で体調を崩したことがあった。国民の健康に留意してか、中国にはW杯自国開催の野望もある。
地元ブラジル-メキシコ戦が行われた6月17日にはサンパウロで帰宅を急ぐ車列が約300キロの大渋滞を起こした。この渋滞に巻き込まれ、「キング」ペレも試合の前半を見逃した。仕方なくペレは、試合経過を車のラジオで聴いたのだという。
リオデジャネイロの会場では、チケットを持たないチリ人サポーターが集団乱入し、大量の逮捕者を出した。国際指名手配を受けていたメキシコの麻薬密売人は、W杯観戦のためリオの空港で入国しようとして逮捕された。
みんなW杯が見たいのだ。
≪飛んで走って守って…芸術的ゴールラッシュ≫
ブラジルで開催中のワールドカップ(W杯)前半戦で最も衝撃的だったのは、前回王者スペインの1次リーグ敗退だろう。初戦の相手が前回大会決勝と同じオランダだったのも何かの因縁か。幸運なPKで先制しながら、ファンペルシーのダイビングヘッドで同点に追いつかれたシーンが、おそらく今大会のハイライトとなるだろう。
「フライングダッチマン(空飛ぶオランダ人)」と呼ばれたのは、1974年西独大会の英雄ヨハン・クライフだった。ファンペルシーの美しいダイブは、空飛ぶオランダ人2世と呼ぶにふさわしい。
呆然(ぼうぜん)と振り返るGKカシリャスは最強スペインの象徴だった。長く主将を務めた彼の頭頂部は雨にぬれて地肌が透け、うなだれる姿には老いを感じた。世界の中盤を制してきたシャビもイニエスタも輝きを失い、王国凋落(ちょうらく)を強く印象づけた。
スペインの老いを引き出したのはオランダの戦術である。世界で最も魅力的な攻撃サッカーと評価された伝統をかなぐり捨て、強敵をリスペクトして5バックの超守備的布陣を敷いた。パスサッカーが身上のスペインは引き込まれるように前がかりになり、後方に広がる広大な敵陣をファンペルシーやロッベンという天才、怪物が存分に走り回った。
圧巻は、ロッベンの独走だった。スナイデルが放り込んだロングパスをロッベンは、DFセルヒオラモスの後方から追った。100メートル10秒台の快足で抜き去ってのゴール。結果は5-1。超守備的戦術が大量点を生むのだから、サッカーは面白い。
スペインの終焉(しゅうえん)は、メンバーの多くが在籍するバルセロナの没落にもつながる。最後の砦(とりで)はアルゼンチンのメッシだ。彼もまた母国の代表で苦しんでいるが、ここぞの場面でドリブル突破を図り、決定的なゴールを決めているのはさすがだ。
メッシと大会のヒーローを争うネイマールも4得点をあげて得点王レースのトップに立っているが、同僚オスカルがクロアチア戦でみせたトーキックのゴールの印象が鮮烈だ。ランニングフォームを崩さずつま先で打つシュートは、GKに準備する間を与えない。
同じゴールをカメルーン戦ではフェルナンジーニョが決めた。広いピッチでフットサルを戦うようなブラジルらしさ満載のシーンだった。(EX編集部/撮影:AP、ロイター/SANKEI EXPRESS)