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「りんごポリフェノール」健康寿命延長を確認 疲れ、持久力低下、寝つきの改善効果

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「りんごポリフェノール」健康寿命延長を確認 疲れ、持久力低下、寝つきの改善効果

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 健康寿命を延ばすことに深くかかわる抗酸化力。その抗酸化力を他より強力に持つりんごポリフェノールがいま、注目を集めている。ニッカウヰスキー時代の80年前から、りんごに着目して研究開発を進めているアサヒグループは、これまでにも数々の研究成果をあげてきたが、この6月の日本抗加齢医学会総会で最新の成果を発表した。酸化ストレスの高い人を対象に各種検査を行った結果、りんごポリフェノールを含む配合処方によって酸化ストレスが低減することが初めて明らかになり、疲れや持久力の低下、寝つきの悪さの改善に有効であることが示唆されたという。

 酸化ストレスが低減

 アサヒグループホールディングス(東京都墨田区、泉谷直木社長)が順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座の白澤卓二教授監修のもとに行ったもの。日常的な疲れを感じる酸化ストレスが高い40代から60代の男女40人に、りんごポリフェノール200ミリグラムとビタミンE、ビタミンCなどを有効成分として配合したカプセルを配布。一方で、プラセボ群には有効成分を入れないカプセルを配布し、それぞれ摂取前と12週間後の摂取後に、血液生化学的検査や抗酸化関連検査、疲労・行動アンケートを行って、有効性を評価した。

 この結果、有効成分を入れたグループで酸化ストレスが高い人たちにおいて、摂取前と摂取後では明らかに酸化ストレスマーカーの数値が低下した。さらにこの人たちにアンケートを行ったところ、「疲れやすい」「持久力のなさを感じる」「寝つきが悪い」などといった項目で摂取後に明らかに改善を示す回答が多く得られた。

 りんごポリフェノールの健康効果については、これまでにアサヒグループがマウスを使って寿命延長効果、動脈硬化予防効果を確認し、ヒトでシミの素であるメラニン生成を抑制する美白効果、体脂肪低減効果などを立証しているが、今回の調査研究に携わったアサヒフードアンドヘルスケア研究開発本部の澤田陽子さんは「新しい切り口として体内の酸化が進んだ人にどんな効果があるかを検証することに取り組んだ。酸化ストレスマーカーのデータによる改善の確認とともに、検査を受けた人の実感、体感として有意な結果が得られたことが大きい」と話す。

 これによって、りんごポリフェノールを含む抗酸化物質配合処方が加齢によって起きる疲れや体力低下などの症状にも有効である可能性が出てきた。こうした商品開発には「りんごを毎日1個食べ続けるのは大変なので、より少ない量でいかに効果を高めるか」がポイントのひとつだが、今回の結果はこの点でも有力なものになりそうだ。今後は、りんごポリフェノールの強い抗酸化力を生かした健康食品、サプリメントなどの研究開発に役立てていくという。

 「出会い」は80年前

 アサヒグループとりんごの関わりはニッカウヰスキー時代にさかのぼる。1934年のニッカ創業時に、「大日本果汁」(当時の社名)が日本で初めて果汁100%のりんごジュースを発売したのがはじまり。38年には「アップルワイン」、その後りんご100%のスパークリングワイン「シードル」を発売。いずれも現在までロングセラー商品になっている。

 91年に未熟なりんごの果実から作ったジュースを加熱殺菌したところ、通常は白ワイン色になるのが、なぜか赤ワイン色になったことに研究者が驚き、分析した結果、未熟果に高濃度のポリフェノール(成熟果の約10倍)が含まれていることが分かった。これがりんごポリフェノールの発見で、これを契機にアサヒグループは他社に先駆けて商品開発に取り組むことになる。94年には、効率的に高濃度のポリフェノールを抽出・精製する独自技術の特許を出願(04年取得)。01年のニッカのグループ入りで両社の技術が融合、研究はさらに加速した。

 現在は、ホールディングスのイノベーション研究所が機能性の研究や素材開発を担当、関連会社がそれぞれ商品開発をになう。アサヒグループの研究陣にとって、健康寿命を延ばす成分として注目されるりんごポリフェノールは主力テーマとなっている。

 強い抗酸化力、高い安全性

 「1日1個のりんごは医者を遠ざける」といわれるほど、りんごは栄養豊富。100グラムの新鮮なりんごは1500ミリグラムのビタミンCに相当する抗酸化活性を有しているといわれ、最近の研究で、りんごに含まれるポリフェノールには強力な抗酸化力とさまざまな健康効果があることが分かってきた。主力成分のプロシアニジン類(カテキン重合体)が強さの秘密で、茶カテキンやブドウ種子抽出物など、よく知られたポリフェノールに比べて圧倒的に高い抗酸化力を誇る(図参照)。

 活性酸素が過剰になると、老化や生活習慣病の原因になる。その予防のひとつに活性酸素を消去する抗酸化物質の摂取も有力とされる。代表的なものがポリフェノールだ。なかでもりんごポリフェノールは強力なうえに、安全性が高く、さらに口から摂取しても血液中の抗酸化力を高め、生体内で有効に機能するのが特長という。(ニュースペース・コム編集部、写真も/SANKEI EXPRESS

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