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五輪舞台「トイレ湾」に苦情 開幕まで2年 リオ市長「浄化間に合わない」
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リオのシンボル、キリスト像が見下ろす会場で始まったセーリングのテスト大会で、スタート地点に並ぶ選手たち=2014年8月3日、ブラジル・リオデジャネイロ(AP) 2016年8月のリオデジャネイロ五輪の開幕まで8月5日で2年。ブラジルにとって南米初開催の五輪は、何とか無事に終わったサッカーW杯を超えるビッグイベントだ。W杯同様に準備の遅れが懸念されるなか、(8月)3日には本番に向けたテスト大会の最初の種目であるセーリング大会が始まったが、さっそく大問題が起きた。コパカバーナ地区にある会場のグアナバラ湾は汚水や糞(ふん)尿の大量流入による水質汚染が問題視されていたが、出場選手らから「まるでトイレだ」「病気になる」などの苦情が殺到したのだ。本番までに水質を浄化するという約束も、リオ市長が「間に合わない」とさじを投げるありさまだ。
「たくさんのプラスチック製ボトルのほかに、犬の死骸が浮いているのを見たよ。もしも五輪開幕が明日だったら、本当に問題だよ」
12年ロンドン五輪の男子セーリングで金メダルを獲得したオーストラリアのマシュー・ベルチャー選手(31)はサンパウロの地元紙にこう嘆いた。
豪州チームのコーチ、ビクター・コバレンコ氏も自国のデーリー・テレグラフ紙に「多くの動物の死骸のほか、椅子、テーブル、旅行用カバンも浮いていた。変な臭いが漂っているし、水しぶきがかかった足がいま、すごくかゆいんだ」と、あきれながら話した。
9日まで行われるテスト大会には日本を含む34カ国・地域から300人以上の選手が参加しているが、大会前から問題視されていた水質汚染を目の当たりにし驚愕(きょうがく)が広がっている。
欧米メディアによると、グアナバラ湾には、周囲の15都市の住民計約800万人の生活排水が毎秒1万8000リットルのペースで流れ込んでいるという。しかも、浄水施設で処理されるのは全体の34%にとどまっており、湾の糞尿汚染値はブラジルの基準値の78倍、米国の基準値では195倍にも達している。
湾の浄化の必要性を訴え続けてきた地元の生物学者、マリオ・モスカテリ氏が「巨大なトイレだ」と言い切る汚さだ。
09年に五輪開催を勝ち取った際に、ブラジルオリンピック委員会は湾の浄化を公約に掲げ、湾に流れ込む河川の水質浄化など12項目の行動計画を策定した。米州開発銀行や日本の国際協力機構(JICA)から総額10億ドル(約1000億円)の資金拠出も受け、委員会は「五輪の開会式の日には全体の80%は浄化できている」と胸を張っていた。
しかし、浄化には浄水処理施設や下水道など、W杯で遅れが問題になった競技場の建設とは比べものにならない大規模なインフラ整備が必要。周辺は衛生状況の悪い貧困地域が目立ち、手付かずの状態という。
実際、リオのエドゥアルド・シルバ市長は6月の会見で、浄化が五輪開幕に「間に合わない」と明言。セーリング競技は「湾の外の汚染されていない海域で行うべきだ」と述べた。
豪州チームのコバレンコ氏も「(当局から)選手が病気になる恐れが残っているという説明を受けた」と、驚愕の事実を明かす。
インフラ整備では、会場間を結ぶ地下鉄建設も開幕に間に合いそうもない。国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長は「(04年の)アテネより悪い。かつてない最悪の状況だ」と頭を抱えている。(SANKEI EXPRESS)