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【勿忘草】キャナリーゼを夢見て
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6月16日にオープンする複合施設「MAGIC_BEACH(マジック・ビーチ)」の全景。先行内覧会では、水着ファッションショーやファイアダンスなどのイベントが行われた=2014年6月15日午後、東京都江東区(栗橋隆悦撮影) この6月、東京・豊洲の街中に突如として真っ白いビーチが出現したのをご存じだろうか。ベトナムから550トンの砂を持ち込んだ「THE BEACH 55(ザ・ビーチ55)」というカフェだ。産経新聞社が手がける遊休地利用事業の一環で、複合施設「MAGIC BEACH(マジック・ビーチ)」の一角に作られた。
湿度が高く蒸し暑い東京だが、白い砂を見渡すテラスに座れば涼しい潮風が吹き、海外のリゾートレストランそのもの。感動しながら、「新婚旅行に行ったときのことを思い出しました」と言ってくれた人も。ランチは1500円、ディナーは6000円前後という価格設定だが、連日たくさんの来場客で賑わい、週末は外まで行列ができることも少なくない。
そして、このカフェを訪れる人々のスタイリッシュなこと。特に平日の昼下がりは、“キャナリーゼ”と呼ばれる豊洲周辺に住むママさんたちが多く、とにかく華やか。みなすらっとした体型で、アメリカ西海岸を思わせるリゾートウエアをまとい、大きなサングラスがよく似合う。連れている子供たちも総じてお行儀がよく、真っ白いビーチのすみで静かに砂遊びに興じている。開業前、真っ黒に日焼けしながら業務の一環としてレーキで白い砂をならした身としては、同年代の女性が優雅な生活を送っていることがうらやましい…いや、嬉しい限りだ。
大都会の喧噪から離れた“天国に一番近い”マジック・ビーチだが、1キロも歩けば、オフィスビルが建ち並ぶ豊洲駅前エリアに出る。駅前には格安牛丼店やカレー店などが並び、昼時には汗を流しながらごはんをかき込み、時計を気にするサラリーマンであふれる。彼らの中には、美しいキャナリーゼの優雅な生活を支えるお父さんも少なくないはずだ。大変な思いをしている企業戦士のみなさんには申し訳ないが、そんな対比がまた面白い。女性が幸せな国は豊かだというが、日本もまだまだ捨てたものではないのかもしれないと感じた。
汗を流す側からいつか優雅にランチを楽しむキャナリーゼ側になる日を夢見つつ、私はきょうも新豊洲のマジック・ビーチへ向かう。(今泉有美子/SANKEI EXPRESS)