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リオ五輪まで2年 特別チーム編成 準備急ピッチ
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陸上競技が開催されるマラカナン地区の五輪スタジアム=2014年5月、ブラジル・リオデジャネイロ(共同通信社チャーターヘリから撮影) 1カ月で延べ343万人の観客を集めたサッカーW杯が終わり、ブラジルとリオデジャネイロ市はいよいよ五輪の準備を加速させる。8月28日に4万5000人のボランティアのプログラムをスタート。9月以降にマスコットやスローガンを発表し、12月には総数700万枚の入場券販売も開始する。
競技会場は4地区に分散し、市西部のバーラ地区がメーン会場の五輪公園となる。体操や水泳、柔道のほか五輪復帰のゴルフなどを実施。市中心部のマラカナン地区は開閉会式やサッカー決勝を行うマラカナン競技場や、陸上を開催する五輪スタジアムが世界中のファンを待つ。世界的に有名なビーチが広がる市東部のコパカバーナ地区はセーリングやビーチバレーが行われ、市北部のデオドロ地区では7人制ラグビーや射撃を実施する。
2007年の米大陸の国際総合大会、パンアメリカン大会で使用した既存施設が多く、パエス市長は「(無用の長物を意味する)“白い巨象”は残さない」とアピール。地下鉄や路面電車など大規模な都市インフラ整備を含めた総経費は367億レアル(約1兆7000億円)とW杯以上に巨額だ。
開催準備は大幅な遅れが指摘されてきた。4月には各国際競技連盟が不満をあらわにし、国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長が「危機的状態。私が経験した中で最悪」と発言し、後で撤回する騒ぎにもなった。そこで、IOCは特別チームを設置して準備を支援する緊急措置を取った。
大会組織委員会の広報担当は「IOCのてこ入れもあって、ここ数カ月で準備状況は目覚ましく進んだ」と説明。インフラ整備を統括するテチマ・ディレクターは「基礎工事は大部分が地下なので見た目には分かりにくいが、順調だ。工程は最終段階に入った」と自信を示した。7月のW杯閉幕直前にはIOCのバッハ会長がリオを訪問し、ルセフ大統領やパエス市長と会談して連携強化を確認した。
≪組織委をW杯運営に派遣、ノウハウ蓄積≫
8月5日から17日間の五輪開催時、南半球のブラジルは冬だ。ただ、大西洋に面するリオデジャネイロは日中の気温は20度を超えて暖かい。サトウキビが原料の酒「カシャーサ」とライムなどでつくるカクテル「カイピリーニャ」が人気。人口約643万人で鉱物や砂糖、コーヒーの輸出港として発展。ボサノバ発祥の地としても知られる。
6月12日から7月13日まで開かれたサッカーのW杯期間中、五輪の大会組織委員会から12人がW杯の運営スタッフに加わり、輸送や警備、広報などノウハウを蓄積した。リオ市からも50人がオブザーバーとして携わった。1万5000人のW杯ボランティアは、多くが五輪でも採用される予定だ。
日本オリンピック委員会(JOC)は南米初の五輪に備え、長時間の渡航や時差調整、治安、交通渋滞、感染症など多岐にわたる対策の検討を進めている。日本選手団の事前合宿地は、体育館などの施設が充実しているリオの西約350キロのプライアグランデとする方向。競技団体の強化担当者による現地調査などで万全を期す。(EX編集部/撮影:共同、AP/SANKEI EXPRESS)