SankeiBiz for mobile

糖尿病には治せる時間がある 大和田潔

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのトレンド

糖尿病には治せる時間がある 大和田潔

更新

 【青信号で今週も】

 糖尿病の原因となる肥満の人は、増加し続けています。国際的な研究チームの発表では、世界全体で1980年と比べて成人で約30%、20歳以下ではなんと48%も肥満の人が増加しているとのことです。その結果、3人に1人が肥満か太りすぎの状態です。発展途上国での増加が著しいとのことですが、先進国でも増加しています。

 糖尿病自体は無症状で、採血や検尿で異常が発見されることがほとんどです。「このままでは、糖尿病になってしまいますよ」といわれても、ピンとこないものです。ウイルス感染症などによって膵臓(すいぞう)が障害を受けて発症するI型糖尿病でない限り、II型糖尿病と呼ばれる糖尿病は、通常の場合、無症状のままゆっくり進行します。

 糖尿病には治せる可能性がある期間が存在することを前回お書きしました。検査結果が異常になり始めたらすぐに解決する努力をしましょう。糖尿病は、血液中の糖分を組織で使うために必要なインスリンの働きが弱まることが原因です。運動と食事でインスリンが働きやすい体に整え、たくさんのインスリンを必要としない生活習慣に変更することが解決につながります。

 もともとインスリンは細胞内に糖を引き入れ、細胞の活動を支えているホルモンです。運動によって筋細胞の糖の消費量が増やすと、筋肉は少量のインスリンでも糖を消費しやすくなります。また、食事のエネルギー量を減らすと、食後のインスリン分泌量を減らせます。

 糖尿病は継続的な観察が必要です。「糖尿病治療、継続は半数にとどまる」(MSN産経ニュース4月15日付)とも報道されています。心臓や脳、腎臓の障害といった糖尿病の合併症は怖いものの、経済的負担や忙しさなどからせっかく続けてきた治療を途中で中断してしまう方も多いようです。2014年に開催された糖尿病学会では、1年間の間でも10%近い人が治療を中断してしまっていると警鐘を鳴らしました。

 糖尿病は解決する時間が準備されています。また、治療が必要な状態の場合には継続することが必要です。一度指摘された場合は、改善した後も定期的なチェックは忘れないようにしましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

ランキング