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経済
GDP年率6.8%減 震災以降最大の落ち込み 消費や輸出低迷 再増税どうなる
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国内総生産(GDP、季節調整済み)成長率と内需実質寄与度=2012年「4~6」月期から2014年「4~6」月期(速報値)、※2014年8月13日、内閣府発表 内閣府が8月13日発表した2014年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.7%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算で6.8%減となった。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が響き個人消費が不振だったほか、輸出や設備投資も低調だった。マイナス成長は2四半期ぶりで、下げ幅は東日本大震災の影響で景気が落ち込んだ11年1~3月期の年率6.9%減以来の大きさとなり、前回増税時の1997年4~6月期(年率3.5%減)より大幅に悪化した。
甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相(64)は会見で、「景気は緩やかな回復基調が続いている」と強調。7~9月期は2013年度補正予算や14年度予算に盛り込まれた経済対策が景気を下支えするとの見通しを示した。
≪消費や輸出低迷 再増税どうなる≫
4~6月期のGDPが東日本大震災以来の下げ幅となったのは消費税増税前の駆け込み需要の反動減で、個人消費が過去最大の落ち込みとなったためだ。市場では反動減の影響が和らぐ夏場から消費が盛り返し、景気が持ち直すとの見方も根強い。
だが、食品や日用品の値上がりで家計が圧迫される中、消費回復の足取りは鈍い。安倍晋三首相(59)は7~9月期の景気動向を基に、予定通り来年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうかを判断するが、景気回復の先行きを見定めるのは容易ではなく、再増税をめぐって難しい決断を迫られることになりそうだ。
「増税後の消費の落ち込みの見通しが甘かった」
4~6月期GDP速報値を受け、多くの民間エコノミストはこう漏らした。各シンクタンクは1~2カ月前まで4~6月期のGDPは実質年率で4~5%程度の減少にとどまるとの見通しを示していた。しかし、その後に発表された消費や生産関連の指標で改善の遅れが明らかとなり、7%前後の減少に相次いで下方修正。結果は6.8%の減少だった。
市場が読み違いをした背景には、今年4月の消費税増税前に講じた駆け込み需要対策が想定ほど効果を発揮しなかったことがある。政府は、駆け込み需要の反動減がその後の景気を冷やした1997年の消費税増税時を教訓に、住宅ローン減税を拡充し、自動車の取得税についても4月に税率を普通自動車で5%から3%に下げるなど、矢継ぎ早に対策を講じた。
しかし、内閣府の試算によれば、今回の駆け込み需要は2.5~3兆円と、1997年の増税時の約2兆円を大きく上回った。その分、反動減が大きくなり4~6月の住宅投資は前期比10.3%減、自動車や家電など耐久消費財は18.9%減と激しく落ち込んだ。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「政府が実施した駆け込み需要を抑える政策の効果は想定以上に薄かった」とみる。
消費の落ち込みを補うはずの公共投資も伸びを欠き、設備投資も低調なまま。円安で回復が見込まれた輸出も減少し、「内外需とも牽引(けんいん)役が見当たらない状況」(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)が回復を遅らせている。
今後の焦点は、4~6月期の落ち込みが、7~9月期にどれだけ回復するか、だ。日本経済研究センターが民間エコノミスト42人に聞いた7~9月期のGDP予測は平均で実質年率4.08%増。駆け込み需要の反動減が薄れるほか、総額5.5兆円の補正予算の効果で、公共投資を中心に回復が見込めるというのが根拠だ。
甘利(あまり)経済再生担当相も8月13日の会見で、景気の先行きについて「駆け込みで伸びて反動で下がり、それを受けて次はかなり上昇する。先行き明るいイメージになる」と楽観的な認識を示した。
だが、公共投資は足元では人手不足による入札不調が相次ぎ、政府が期待する効果を発揮できるかは見通せない。さらに、個人消費も百貨店売上高の減少基調が続くなど回復の動きは鈍いままだ。消費税率10%への再増税の是非を判断する年末に向けて、景気が、政府のシナリオ通りの回復力をみせることができるのかは予断を許さない。(今井裕治、永田岳彦/SANKEI EXPRESS)