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自分を追い込み集中した 映画「人狼ゲーム ビーストサイド」 土屋太鳳さんインタビュー

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自分を追い込み集中した 映画「人狼ゲーム ビーストサイド」 土屋太鳳さんインタビュー

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「思い立ったら行動が先に出るタイプ」と語る、女優の土屋太鳳(つちや・たお)さん=2014年8月6日、東京都渋谷区(川口良介撮影)  太鳳(たお)。ひときわ、目を引く名前は出産前に母親が見た夢にちなんで命名されたという。雲の上に寺子屋が建っており、その机の上に赤ちゃんがいて、紙に何かを書きつけていた。乗り出してみると、「土屋太凰、2月3日生まれ、女」とあった。「もし2月3日に赤ちゃんが生まれたら『太凰』と名付けよう」。目が覚めた後、母親は思った。程なく、夢と同じ2月3日に本当に赤ちゃんが生まれた。ただ「凰」の字は当時、人の名前に使えなかったといい、家族は中国の伝説の鳥「鳳凰」の名にあやかり、太鳳と名付けた。

 今年の土屋はまさしく鳳凰のごとく飛躍を遂げた。来年3月30日からスタートするNHK連続テレビ小説「まれ」のヒロインに抜擢(ばってき)されたのは記憶に新しい。主演を務めるシチュエーションサスペンス映画「人狼ゲーム ビーストサイド」(熊坂出監督)では、同級生たちを欺き、躊躇(ちゅうちょ)なく殺害に及ぶ、冷徹でしたたかな高校生を熱演した。

 信じることは勇気が要る

 本作はプレーヤー同士がお互いの正体を探り合う欧州発の人気心理ゲーム「人狼ゲーム」を映画化したもの。高校生10人がある日、何者かによって学校のような施設の大部屋に連れ込まれ、人狼ゲームへの参加を強いられた。「人狼」のカードを与えられた由佳(土屋)は多数の「村人」役のプレーヤーたちに紛れ込み、正体を隠しながら1人ずつ殺害していかなければならない。「村人」役も「人狼」役を見つけ出し、処刑することが義務づけられている。最後まで生き残った者には賞金1億円が贈られるという。非日常的な体験を渇望していた由佳は次第に興奮を覚え…。

 「あいつは人狼ではないか?」と疑心暗鬼になり、「だまされる前に殺せ」と激しい焦燥感にさいなまれるプレーヤーのやり取り、表情、態度がいろいろに見て取れて面白い。次第に心と体のバランスを崩していく由佳の役作りでは「熊坂監督の指導を受け、自分を相当追い込みました」と土屋。よりリアルに見える人間像を構築しようと、「自分の内面をむき出しにし、さらけ出して、その上で、由佳の立場になって『自分ならばこうするんだ』と、しっかり意識しながら表現することに集中しました」と振り返る。

 「自分の演技力に不満を持っている」と自嘲気味に語る土屋にすれば、熊坂監督の指導は衝撃的な体験だったようで、「人間への新しいアプローチの方法を学ぶことができました」と謝意を表した。

 仕事やプライベートで、心ならずも信じていたことが揺らいでしまい、疑心暗鬼に陥ってしまった場合、土屋ならばどう対処するのだろう。「信じることはすごく勇気が要りますよね。見えない何かに対して期待することだからなおさらかもしれません。信じることで、自分に責任も生じます。でも大切なのは、信じることが悪いか否かではなく、相手を信じられるようになるまでに、たくさんの時間をかけて、信頼関係を重ねていくことかもしれません」

 吉高は「お姉ちゃん」

 今、最も身近にいて信頼を寄せている先輩女優が吉高由里子(よしたか・ゆりこ、26)だ。土屋は放送中のNHK連続テレビ小説「花子とアン」のヒロイン花子(吉高)の妹、もも役を演じていて、吉高を「この1年、ずっと一緒に過ごしてきたお姉ちゃんみたいな人」と紹介した。

 2020人のライバルを下して「まれ」のヒロインを射止めた土屋は真っ先に吉高に報告すると、吉高は大泣きしながら喜んでくれたそうだ。「最終審査の前には『私のパワーを全部あげるからね』と言って手をギュッと握ってくれました。吉高さんがヒロインとして努力を重ねる姿を間近で見てきたからこそ、とても大切なプレゼントになりました。演じきってみせます」。数年後、さらに一皮むけた土屋の成長ぶりをみるのが楽しみだ。8月30日から東京・新宿武蔵野館ほかで公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:川口良介/SANKEI EXPRESS

 ■つちや・たお 1995年2月3日、東京都生まれ。2008年の映画「トウキョウソナタ」でデビュー。09年「釣りキチ三平」と10年「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」でヒロインを務め、公開中の「るろうに剣心 京都大火編」にも出演。テレビではNHK「龍馬伝」(10年)、テレビ東京「鈴木先生」(11年)など。日本女子体育大学で舞踊学専攻。

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