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日本の「オタク文化」花盛り 英国・ロンドン 「ハイパー・ジャパン2014」

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日本の「オタク文化」花盛り 英国・ロンドン 「ハイパー・ジャパン2014」

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英国の首都、ロンドンで行われたイベント「ハイパー・ジャパン2014」の欧州コスプレ・パレードに集まったコスプレ・ファンたち=2014年7月27日(ハイパー・ジャパン事務局提供)  【Viva!ヨーロッパ】

 欧州で日本の「オタク文化」が花盛りだ。先月(7月)25日から3日間、ロンドンで開かれた最新の日本文化イベント「ハイパー・ジャパン2014」は、過去最高の8万4000人が来場し、新たな形での発展を模索し始めた。欧州最大級の日本文化の祭典に成長したパリのジャパンエキスポに次ぐ成功例ともいえそうだ。欧州に広がる“オタク文化”の未来を探ってみた。

 ボットの近未来

 ロンドン中心部の巨大会場は、入り口も、各種イベントにも行列ができるほどの盛況ぶり。ジャンルごとにエリアが設置され、さまざまな角度から日本の魅力を紹介していた。

 メーンステージがあるエリアでは、日本のファッションや若者文化の発信地、原宿のストリートを再現。ポップカルチャーをショーやライブ音楽、女の子たちが人気アニメの主題歌などを熱唱し、若者たちの熱気でムンムン。まるで原宿がロンドンに引っ越してきたようだ。話題を呼んでいたのが、特別ゲストの小型ヒト型ロボット。史上初のロボット宇宙飛行士として、こうのとり4号機で国際宇宙ステーション(ISS)に行ったKIROBOの開発に携わった高橋智隆氏が制作したROBO君と登場。Jポップに合わせて踊ったり、対話したりと、人間と働くロボットの近未来を感じさせた。

 人気を集めていたのは、思い思いのアニメヒーローの衣装を着て、キャラクターになりきるコスプレパレードだ。ジャパンエキスポでの全欧コスプレショーの予選でもあり、会場は大いに盛り上がった。

 焼きそば、すし、酒…

 「オタク文化」以外で行列ができていたのが、「日本食」のエリアだ。タコ焼きや焼きそばといった縁日を思い起こさせる料理に加え、人気を集めたのが、英国を代表するレストランのすしシェフたちが腕を競った創作すしのコンペティション「EAT JAPAN SUSHI AWARDS(日本を食べるすしアワード)」だ。

 数々の個性的なすしの中で投票の結果、王冠を手にしたのはレストランROKAのシェフによる「海底の沈没船」。揚げた海苔でシャリを包み、柚ゼリーや山椒、胡椒、タコ、レモングラスをトッピングに使った、日本のすしとは大きく異なる作品だった。

 このほか、居酒屋風小皿料理や日本産の和牛も初登場したほか、手軽にできる和風スイーツも好評だった。

 さらに、日本酒試飲会では、簡単なレクチャーの後で実際に日本酒に挑戦。投票では、松竹梅白壁蔵の発泡日本酒「澪」が一番人気となり、ここでも日本人の味覚とは異なる実情が浮き彫りになった。

 この「欧州最大の日本食フェスティバル」から見えてくるのは、人気の「和食」がもはや日本の伝統の枠を超えて世界でいろんな形に変化し始めていることかもしれない。

 「第4の矢」になるか

 このほかにも、外国人に人気のビデオゲームやアニメコーナーは、日英の「Manga」ファンたちでにぎわったほか、英国でも度々紹介されているパフォーマンス集団、白Aによるコメディーの舞台には多くの英国人ファンも詰めかけた。

 ただ、気になることもある。主催者は、クールジャパンイベントを自認し、あらゆるジャンルの「ほんものの日本」を会場に持ち込んでいると主張しているが、日本の伝統的文化は隅に追いやられ、「オタク文化祭」という印象を拭えなかった。初めてイベントに参加した英国人の中には、面食らった人たちもいたようだ。

 主催したクロスメディア社(ロンドン)代表の丸茂和博氏は「2010年にスタートし、今回で6回目。知名度も高まり、人気イベントに育ちつつあり、次の段階に入る時期を迎えた」と述べ、イベントを夏冬の2回に分け、夏は規模を拡大、冬は日本の参加者のビジネス機会にしたいと話していた。

 日本の文化は、安倍晋三首相の経済成長に向けた“第3の矢”に次ぐ、“第4の矢”となる可能性はある。だが、それには盛況なポップカルチャーだけでなく、奥深い日本の伝統文化のファン層を世界に広げていくことが重要ではないか。(ポール・ウィルソン、内藤泰朗/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 「ハイパー・ジャパン2014」のホームページは、http://hyperjapan.co.uk/

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