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デマも蔓延 エボラ患者逃走 リベリア 隔離施設襲撃で17人

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デマも蔓延 エボラ患者逃走 リベリア 隔離施設襲撃で17人

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エボラ出血熱の感染状況=2014年8月13日現在、世界保健機関(WHO)による。※死者は感染例、疑い例に含まれる。  エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカ・リベリアの首都モンロビアで8月16日、武装したスラム街の若者ら数百人がエボラ出血熱の患者の隔離施設を襲撃し、患者17人が逃走した。フランス通信(AFP)などが17日、報じた。彼らは「エボラ出血熱は存在しない」などと叫びながら、血の付いたマットレスや医療機器を持ち去った。エボラ出血熱の大流行が「食人儀式」のためのでっちあげと信じている人々が暴挙に走った可能性があるという。効果的な特効薬がないうえ、こうしたデマや根拠のない噂の蔓延(まんえん)が感染の封じ込めを遅らせている。

 「彼らはドアを壊し、略奪行為を行った。患者は逃げた」

 襲撃の様子を目撃したレベッカ・ウェシェさんはAFPにこう語った。

 武装の若者数百人

 隔離施設はモンロビアのスラム街、ウエストポイント地区の高校の校舎に設置されていた。リベリア医療保健事業者協会のジョージ・ウィリアムズ会長は「当初、29人が入所していたが、4日前に9人が死亡。3人は家族らが15日に無理やり連れ出した」と説明。逃走したのは襲撃当時の入所者17人で、群衆に紛れて行方不明になった。無論、全員が感染者だ。

 一方、襲撃者についてリベリア国家警察の広報担当、サム・コリンズ氏は米CNNに対し、棍棒(こんぼう)などを手にした若者がほとんどで、「エボラ出血熱を恐れ、モンロビアでの隔離施設の設置に反対していた人々による襲撃だ」と述べた。

 感染地域で活動する医療従事者に対する地元住民らからの脅迫や嫌がらせも広がる。世界保健機関(WHO)は18日、「医療従事者は危険を冒して重要な医療を行っているにもかかわらず、脅迫されたり疎まれたりしている」と懸念を表明した。

 「食人儀式の口実」

 こうした理解不能な暴挙が起きるのには理由がある。エボラ出血熱の流行地域の住民らは、デマや根拠のない伝承などを信じており、エボラウイルスは「欧米の白人が作り出したもの」で、「医療従事者が故意に感染させている」といった陰謀説も広く出回っている。

 地元警察の責任者、アルフレッド・カロウ・カマラ氏は、AFPに対し、元看護婦が魚市場の近くで人々に「エボラ出血熱は食人儀式を行うための口実だ」と吹聴したことが、こうしたパニック的暴挙につながったと説明した。実際、モンロビアでの隔離施設の設置に反対する地元住民のひとりは「われわれはエボラ出血熱の大発生など信用していない」と述べた。

 こうした誤解や無知は、感染の拡大に拍車をかけている。エボラ出血熱は感染者の血液や唾、尿などに接触すれば感染する。米CBSニュース(電子版)は「襲撃者は隔離施設から血の付いたマットレスやシーツを奪い、(自分たちが暮らす)ウエストポイント地区に持ち帰っているとみられ、今後、この地区全体がエボラ出血熱に感染することを恐れている」との現地警察幹部の話を伝えた。

 WHOによると、今年3月以降、エボラ出血熱による死亡者はリベリア、ギニア、シエラレオネ、ナイジェリアの4カ国で1145人にのぼり、過去最悪の状態だ(8月13日時点)。西アフリカ諸国では、国境の警備強化や感染拡大国への航空機の乗り入れ停止のほか、未承認薬の投与など、全力で感染拡大の防止に努めているが、そのためには住民に対する正しい知識の啓発活動が欠かせない。(SANKEI EXPRESS

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