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社会
【広島土砂崩れ】男児抱え誘導中犠牲 消防士襲った土石流
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大規模な土砂崩れが住宅街を襲った現場。背負われて救助される住民=2014年8月20日午後、広島県広島市安佐南区(森田達也撮影) 広島市で8月20日未明に発生した大規模土砂災害では、消防士が二次被害に遭い、命を落とした。
広島市安佐北(あさきた)消防署の消防司令補、政岡則義(のりよし)さん(53)は20日午前3時55分ごろ、「土石流が発生し、住民8人が危険な状況にある」との通報を受け、同僚3人と安佐北区可部東(かべひがし)の災害現場へ向かった。
約30分後に現場に到着し、救助した男児(3)を抱きかかえ、ほかの住民7人の避難誘導を開始した。そのとき、再び発生した土石流に巻き込まれ、近くにいた男児の母親(42)と3人で生き埋めになった。午前9時55分ごろに助け出されたが、すでに心肺停止の状態で搬送先の病院で死亡。男児も死亡し、母親も負傷した。
1979年に消防士を拝命した政岡さん。同僚は「レスキュー隊の経験が長く、知識も豊富で中堅として活躍していた。非常にまじめで、現場一筋の熱く正義感の強い人だった」という。
2012年7月には、非番の日に路上で単独事故を起こした車を発見。車内にいた重傷者に止血や呼吸確保などの応急処置を施し、無事救急隊員に引き渡したこともあった。
安佐北消防署の湯出原宏副署長は「予測できない土石流に巻き込まれたのだと思う。最後まで職責を全うしてくれたが、残念でならない」と話した。
安佐北区では06年9月の台風13号による災害時にも消防団員の男性が遺体で見つかっている。総務省消防庁によると、東日本大震災では消防職員27人が死亡。消防団員は254人が亡くなった。
室崎益輝(よしてる)・兵庫県立大学防災教育センター長は「消防士は危険があっても使命感から救出に行くもの。装備などを万全にする態勢が必要だ」と話した。(SANKEI EXPRESS)
広島市の土砂災害で亡くなり、身元が判明した方々は次の通り。(広島県警の発表による)
【安佐南区】沢本範子さん(77)▽竹内重喜さん(54)▽平野遥大君(11)▽平野都翔ちゃん(2)▽政岡則義さん(2)
【安佐北区】畑中和希ちゃん(3)