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チリでM8.2の地震 6人死亡 津波警戒 情報収集に自治体奔走

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チリでM8.2の地震 6人死亡 津波警戒 情報収集に自治体奔走

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津波の到達予測時刻=2014年4月3日午前、※各地の沿岸において、最も早く津波が到達する時刻  南米チリで4月1日午後8時46分(日本時間2日午前8時46分)ごろ、太平洋沖を震源とするマグニチュード(M)8.2の地震が発生した。チリ沿岸部には最大2メートル超の津波も到達した。ロイター通信によると、チリの内相は6人が死亡したことを明らかにした。土砂崩れで道路が寸断された地域もあった。

 米地質調査所(USGS)によると、震源は北部イキケの北西約95キロで、震源の深さは約20キロ。チリ北部では小規模地震が続いていた。チリ政府はイキケで2メートル55センチの津波が観測されたことを明らかにした。

 震源に近い地域の住民らは高台へ移動し、2日未明(現地時間)の時点でも避難を続けている。街には警察車両や救急車が出動し、被害の把握に努めている。

 隣国ペルーの気象当局も地震発生直後に津波警報を発令、近隣住民に避難を呼び掛けたほか、中南米の太平洋側の国々は住民に津波に対する注意を促した。

 USGSは当初、地震の規模をM8.0と発表したが、その後にM8.2に上方修正した。チリでは2010年2月にもM8.8の地震で津波が発生。数百人が死亡している。(ロサンゼルス 中村将/SANKEI EXPRESS

 ≪津波警戒 情報収集に自治体奔走≫

 南米チリ沖で日本時間4月2日午前8時46分に発生したマグニチュード(M)8.2の地震が引き起こした津波は、太平洋を隔てて約1万5000キロ以上離れた日本列島にも3日朝に到達する見込みだ。過去の南米沖の地震で発生した津波は、日本に何度も大被害をもたらし、気象庁は津波注意報の発表も検討。東日本大震災の被災地や、東南海地震で甚大な被害が想定されている太平洋沿岸地域は、情報収集や対策を急いだ。

 臨時避難所を開設

 「また船が流されないようにしないと」。震災で漁船を失った岩手県田野畑村の漁師、工藤寛さん(85)は、新たに購入した船をロープでつなぎとめる作業に追われた。

 沿岸の漁業関係者が備えを急ぐ中、岩手県大槌町は午前10時、「南米チリでマグニチュード8.2の地震が発生しました」「今後の情報に注意してください」と防災無線を通じて一報が住民に伝えられた。

 大槌町は震災の津波で1200人余りの住民が死亡・行方不明となり、3年が過ぎた今も堤防が決壊しているところがある。危機管理室は「情報を的確に伝え、住民の混乱を避けたい」。

 宮城県南三陸町は1960年のチリ沖地震で最大5メートルを超える津波が押し寄せ、40人以上の犠牲者が出た。認識の甘さが被害の拡大を招いたとされており、担当者は「津波が来る際は、防災無線やメールの災害情報配信といった手段を活用し周知徹底を図る」と話す。町は自主的な避難も想定し、臨時避難所を2カ所開設することを決めた。

 「泊まり込んで…」

 国内で最も早い3日午前5時に津波が到達するとされた北海道東部。2010年のチリ沖地震で最大1メートルの津波が押し寄せ、3363世帯8840人に避難指示が出た根室市は2日午前8時55分に災害警戒本部を設置。2日夕には沿岸部で広報車を走らせ、津波到達の可能性があることを周知した。

 根室市は「役所に泊まり込んで情報収集に当たり、警戒を続ける」といい、注意報や警報が出た場合は、住民に防災無線やインターネットの交流サイト「フェイスブック」などを使い、注意喚起する。

 伊豆諸島や小笠原諸島などの離島でも住民への注意喚起が行われた。3月30日に死亡事故が発生した沖ノ鳥島(東京都小笠原村)には工事関係者ら約200人が滞在しており、国土交通省は「状況によっては速やかに避難させる」という。

 住民から問い合わせも

 東南海地震の被害が想定される地域でも自治体の担当者らが対策に追われた。

 南海トラフ巨大地震では最大34メートルの津波が押し寄せるとされる高知県土佐清水市は、昨年(2013年)12月に発足した危機管理課が警戒態勢に入った。「津波の状況を問い合わせてきた住民もいた」と危機管理課担当者。夜間も2人態勢で警戒した。

 「いつ起きてもおかしくない」とされる東海地震への対策を進めてきた静岡県では、沿岸の全21市町に住民への注意喚起を通知するとともに、県が管理する水門53カ所を水面の位置まで閉鎖する作業を行った。

 千葉県旭市では市職員らが避難所となる小中学校など12カ所を訪問し、事前に鍵などを借りて回った。10年のチリ沖地震で80センチの津波が観測された茨城県神栖(かみす)市は3日午前2時半に防災安全課の全職員が出勤、対応に当たるという。(SANKEI EXPRESS

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