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【Q&A】南海トラフ地震 30年以内に確率70% 被害額220兆円

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【Q&A】南海トラフ地震 30年以内に確率70% 被害額220兆円

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地震対策大綱の体系=2014年3月30日現在、※カッコ内は作成年  政府は南海トラフ巨大地震に備え、被害を減らすための数値目標などを盛り込んだ基本計画を決めました。

 Q そもそも南海トラフとは何ですか

 A トラフというのは英語で「細長い溝」という意味です。静岡県の駿河湾から九州東方沖にかけて、深さ約4000メートルの溝が延びていて、これを南海トラフといいます。

 Q どうして溝ができたのですか

 A 西日本が乗っているプレート(岩板)に向かって海側から別の岩板が押し寄せ、年数センチのスピードでもぐりこんでいます。その境目に溝ができたのです。

 Q なぜ地震が起きるのでしょうか

 A 海側の岩板がもぐり込むと陸側の岩板も下に引きずられ、耐えきれなくなって元に戻ろうとはね上がる際に地震が起きます。南海トラフ沿いには東海地震、東南海地震、南海地震の震源域が並んでいると考えられています。この3つが連動すると、巨大な地震が起きます。広範囲にわたって海底が動けば、大津波が発生します。

 Q 過去に南海トラフ周辺で巨大地震が起きたことはありますか

 A 江戸時代中期の1707年に起きた宝永地震は、3つの震源域が連動して起きたと考えられています。地震の規模を示すマグニチュード(M)は8.6と推定され、東日本大震災のM9.0に迫る巨大地震だったようです。

 Q 今後の見通しは

 A 政府によると、今後30年以内にM8~9の巨大地震が起きる確率は70%程度です。M9級の場合、最悪のケースで約32万3000人が死亡し、約238万6000棟が全壊・焼失すると予想されています。交通網の寸断などによる経済被害は220兆円と推計されています。

 Q どんな対策をとるのですか

 A 国は3月28日、基本計画を決めました。想定される死者数を今後10年間で80%減らし、全壊・焼失する建物も半減させると約束しました。住宅の耐震化率は2020年までに95%に引き上げ、公立学校は15年度までにすべて耐震化します。大災害時に応援出動する緊急消防援助隊は今年1月時点で4600隊が登録されていますが、18年度に6000隊まで増やします。津波を想定した避難施設や道路の整備、住宅や学校、病院の高台移転にも力を入れます。

 Q 範囲が広いので、対策にも優先順位が必要ですね。

 A 国は、29都府県の707市町村を防災対策推進地域に指定しました。このうち14都県の139市町村を、津波避難対策の特別強化地域に指定し、避難施設などを造る費用の補助を上乗せします。地方自治体は4月以降、具体的な計画をつくり、優先順位を付けて事業に着手します。

 ≪公共工事には限界 一人一人の防災意識が不可欠≫

 政府が掲げた南海トラフ巨大地震の想定死者数を8割減らす目標を達成するには、自治体や地域住民と一体となって防災対策を総動員する必要がある。国難といわれる深刻な事態を避けるため、公共工事を中心としたハード事業だけでなく、防災教育などのソフト対策も重要だ。

 国は、深刻な津波被害が懸念される市町村を特別強化地域に指定して、津波避難施設や避難路の整備といったハード事業を財政支援する。

 ただ、東日本大震災では岩手県宮古市田老地区で「万里の長城」と呼ばれた巨大防潮堤を津波が越え、多くの犠牲者が出ており、ハード事業の限界も浮き彫りになった。

 南海トラフ地震の政府想定では、津波による死者は全体の約7割の約23万人に上る。だが、中央防災会議は、地震発生後20分以内に全員が避難を始めれば、このうち半分程度が被害を逃れると推計している。

 基本計画でも言及しているように、まずは住民一人一人が避難の意識を高めることが大切だ。自治体は、ハザードマップの作成や地震発生時の迅速な情報提供体制といった住民の避難を後押しする仕組みづくりを急がなければならない。(SANKEI EXPRESS

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