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政治
【内閣改造】「消費税10%」引き上げ判断焦点
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第2次安倍改造内閣発足後の記者会見を伝える家電量販店のテレビ=2014年9月3日夕、東京都港区新橋のヤマダ電機LABI新橋デジタル館(共同) 第2次安倍改造内閣は、安倍晋三首相が掲げる経済政策「アベノミクス」の推進が最重要テーマになる。政権の命運が懸かる経済再生はまさに正念場。最大の懸案は消費税率10%への引き上げ判断だ。政府内からも「再増税はリスクが高い」などの慎重な意見が出るなど、景気の足取りが力強さを欠く中で、再増税のタイミングを見誤れば、日本経済再生への道筋が途絶えかねない。
新内閣では安倍政権の経済政策「アベノミクス」を担った麻生財務相と甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相が留任した。党役員人事でも2012年に民主、公明両党と税率引き上げを合意した時の総裁だった谷垣禎一(さだかず)氏を幹事長に起用した。引き上げ判断で党内協力を取り付けやすい布陣だ。
谷垣氏は3日の会見で「消費税が財政安定に寄与し、税収を図りつつ政策の選択肢を広げることに役立つ」と強調した。
債務残高1000兆円超の財政を立て直すべく、政府は財政の健全性を示す基礎的財政収支の赤字幅を、15年度は10年度比で半減させる目標を掲げる。この目標は来年10月の税率10%引き上げが前提だ。麻生太郎財務相は3日、「(10%への引き上げを)決められる経済にしなければ」と、財政再建には再増税が不可欠との認識を示した。
だが、足元では、4月の8%引き上げに伴う個人消費の低迷が長期化している。4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は年率換算で6.8%減と急落したほか、7月以降も家計消費は伸び悩んでいる。政府内からも「再増税はリスクが高い」(本田悦朗(えつろう)内閣官房参与)などの慎重な意見が出てきた。経済再生と財政再建の両立に向けた、厳しい判断を迫られることは確実だ。
一方、政府は経済活性化に向け、法人税の実効税率を現在の約35%から20%台に数年で引き下げると成長戦略に明記したが、来年度の引き下げ幅や巨額の減税財源の確保策といった核心部分の議論はこれからだ。財源確保では赤字企業にも税負担を求める外形標準課税の強化などを検討するが、企業の反発は根強く、年末にかけての税制改正論議は最後までもつれる可能性がある。
エネルギー政策では、原子力発電所の再稼働をいかに進めるかが喫緊の課題となる。原発の稼働停止が長期化することで全国的に電気料金の上昇が続いており、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の屋台骨を揺るがしかねないとの懸念が高まっている。再稼働を円滑に進めるためには、政府が前面に立つことが求められている。
新たに経済産業相に就任した小渕(おぶち)優子氏は、これまでエネルギー政策について目立った発言をしていない。ただ、経産省幹部は「安倍政権として原発再稼働について一貫した方針を示しており、エネルギー政策の方向性が変わることはないだろう」と指摘する。
原発再稼働をめぐっては、原子力規制委員会が7月に九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の安全審査の審査書案を了承した。今後、再稼働に向けて地元自治体の同意を得るため、経産相や環境相など関係閣僚が、現地入りして理解を求めることが必要になるとみられる。
また、原子力や再生可能エネルギーなどの組み合わせを示す「ベストミックス(最適な電源構成)」の策定に向けた議論も今後、本格化する。
今年4月に閣議決定したエネルギー基本計画ではベストミックスが示されていない。電力会社などは長期の投資計画の策定が難しくなったほか、温室効果ガスの削減目標を作る上での障害にもなっている。エネルギー政策が停滞すればアベノミクスに悪影響を与えるのは必至だ。小渕経産相にはスピード感を持った政策の実行が求められる。
農業分野では、難航する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結にこぎ着けられるかどうかが大きな課題になる。TPPで打撃を受けかねない国内農業の、競争力強化に向けた農協改革も難題だ。その成否を握るキーマンとして、新たに農林水産相に就いた西川公也(こうや)氏の“調整力”に政府内の期待が集まっている。
TPPは安倍政権の成長戦略の柱の一つに位置づけられるが、日本のコメなど、重要農産品5分野の関税の扱いをめぐる日米協議が決着せず交渉は停滞している。改造内閣では、甘利明経済再生担当相が引き続きTPP担当相も兼ねて交渉の前面に立つほか、西川氏が関係閣僚として農産品5分野の扱いを決める重要な役割を担う。
西川氏は自民党のTPP対策委員長を務め、7月に米通商代表部のフロマン代表と協議するなど党側から交渉を後押ししてきた。政府内では「(西川氏は)調整能力が非常に優れている。ぎりぎりの交渉をうまくまとめる推進役になるのではないか」(農水省幹部)と歓迎する声があがる。
西川氏はもともと、農政に精通した「農林族」。族議員はかつて業界団体の利益代表として「抵抗勢力」とのレッテルも貼られた。だが、西川氏はこれまでの農協の改革議論で党内の慎重派を説き伏せた実績もある。
政府は年内に具体的な農協改革案をまとめる。西川氏がどこまで改革姿勢を貫けるかが問われるのは間違いない。(SANKEI EXPRESS)