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TPP協議 最大危機 「牛肉」めぐり日米袋小路

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TPP協議 最大危機 「牛肉」めぐり日米袋小路

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 ≪米が関税譲歩も日本拒否≫

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に絡む日米協議で、米国が最も重視していた牛肉関税の撤廃を断念し、数%の関税ならば認める考えを日本に示していることが4月10日、分かった。難航している協議の打開を目指し、譲歩の姿勢に転換した。

 ただ、日本は現在38.5%の牛肉関税を、10%台を割り込む水準まで引き下げることを拒否し、依然として隔たりは大きい。ただ、24日に予定する首脳会談での大筋合意を目指し、歩み寄りの機運が高まることも予想される。交渉は大詰めに入った。

 甘利明(あまり・あきら)TPP担当相とフロマン米通商代表は東京都内で9日に続いて会談し、協議は午後に終了した。日本が「聖域」とする重要な5項目の農産物と、米国が早期の撤廃を拒んでいる自動車の関税の扱いを中心に話し合った。激しい応酬が続いたが、溝は埋まらなかった。

 甘利氏は協議後、記者団に「一定の進展はあったが、まだ相当の距離感はある」と説明。フロマン氏は「少し進展したが、主要な問題でかなり隔たりがある」と語った。

 米国が牛肉関税で譲歩に転じたのは、日本とオーストラリアが経済連携協定(EPA)に大筋合意したことが背景にあるとみられる。

 日本がオーストラリア産牛肉の関税引き下げに応じたため、米国産牛肉は日本市場で不利になる。先を越された米国は「関税撤廃にこだわり続けるのは得策ではない」と判断したもようだ。

 日米両政府は、安倍晋三首相とオバマ大統領の首脳会談に向け、事務レベルの作業を続ける。甘利氏は、首脳会談で大筋合意に達するかどうかに関し「まだ可能、不可能を言及する時期ではない」と強調した。

 甘利氏とフロマン氏は会談初日の9日、10時間以上にわたり協議した。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪最大危機 「牛肉」めぐり日米袋小路≫

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が最大の危機に直面した。農産品の関税撤廃問題などをめぐる甘利TPP担当相と米通商代表部(USTR)のフロマン代表による閣僚折衝は不調に終わり、交渉参加国の中核である日米交渉が“袋小路”から抜け出せなかった。

 主張は変わらず

 「漂流してしまう」

 日本政府内には、TPP交渉全体の先行きを悲観する声も上がり始めている。

 4月10日午前8時半から始まった2日目の会談は、終了が当初予定の午後1時から午後3時半にずれ込んだ。前日から2日間にわたって断続的に続けられた会談は「延べ18時間近く」(甘利氏)に達した。対立点の解消に向け「事務方が用意した譲歩案を提示することに時間をかけた」(日本の交渉関係者)ためだ。それでも、妥協点を見いだせなかったのは米国の主張が従来と基本的に変わらなかったことが大きい。

 関係者によると、前日夜、フロマン氏との会談を終えた甘利氏が都内で菅義偉(すが・よしひで)官房長官、茂木(もてぎ)敏充経済産業相相、林芳正(はやし・よしまさ)農林水産相、岸田文雄外相と会い対応策を協議。甘利氏の報告を受けた閣僚らは米国の強硬姿勢に反発し、「あす、米国の姿勢に変化がない限り、合意は難しい」との認識で一致したという。

 強硬な市場開放要求

 最大のネックとなったのは日本の牛肉市場に対する米国の強硬な市場開放要求だ。日本は今回の会談に先立つ(4月)7日、オーストラリアとのEPA交渉で現在38.5%の牛肉関税を冷凍品は18年目に19.5%、冷蔵品は15年目に23.5%まで段階的に引き下げることで合意。会談では日本がこの水準を目安に関税を下げる姿勢を示したが、米国は「関税撤廃並み」の水準で譲らなかった。これは、もともと重要5分野の関税維持を交渉方針とする日本にとって到底のめる水準ではなかった。

 背景に中間選挙

 米国の強硬姿勢の背景には、11月に米中間選挙を控えるオバマ政権が日本の大幅な市場開放を求める米業界団体の意向に配慮せざるを得なくなっている事情がある。日本の政府高官は米国のこうした姿勢が「中間選挙が近づくにつれ強まる」とし、日米交渉の決着はより難しくなるとみる。

 TPP交渉は、参加国の経済規模の8割を占める日米交渉が進まなければ停滞は避けられない状況で、交渉が長引くほど妥結の機運が低下する懸念が強まっている。(本田誠/SANKEI EXPRESS

 【TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)における日米の立場】

 

 ■農産品(1)

(日本)牛肉やコメなど重要5分野を関税撤廃の例外に

(米国)原則として全品目の関税撤廃を

 ■農産品(2)

(日本)5分野の一部で低関税率の特別輸入枠などを提案

(米国)関税撤廃と同等の輸入拡大につながる大幅な市場開放を

 ■自動車(1)

(日本)安全・環境基準を堅持

(米国)日本の基準を「参入障壁」として緩和を要請

 ■自動車(2)

(日本)自動車部品の関税を即時撤廃

(米国)関税撤廃時期を明言せず

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