SankeiBiz for mobile

【エコノナビ】夢じゃない宇宙エレベーター

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの経済

【エコノナビ】夢じゃない宇宙エレベーター

更新

 「2001年宇宙の旅」で著名なSF作家のアーサー・C・クラーク氏は米航空宇宙局(NASA)の研究顧問なども務め、人工衛星や人工知能、携帯電話などのさまざまな発明を予言し、実現に導いてきた。

 そうしたクラーク氏が予言していて、次の実現が大いに期待できるのが宇宙エレベーターではないだろうか。地上と宇宙ステーションをエレベーターでつなげば、ヒトやモノの輸送を安全かつ低コストで、しかも大量に行うことができる。特別な訓練を受けた宇宙飛行士でなくても宇宙に行ける。たとえ高齢者や体が不自由な人でもエレベーターに乗りさえすれば、安全に宇宙空間まで運んでくれるのだ。

 宇宙エレベーターはほんの少し前まで単なる夢物語にすぎなかった。しかし、1991年に超強度カーボンナノチューブが発見されたことにより、地球の赤道上と宇宙空間を結ぶ「テザー(ケーブル)」と、移動する「クライマー」と呼ばれる昇降機の研究が本格化。民間団体の宇宙エレベーター協会(JSEA)によれば、「手の届く域に到達しつつある」のだという。

 協会が毎年実施している実証実験の研究会「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC)には多くの国内外の企業や大学、研究者らが参加する。今年8月上旬に富士山麓で行われた研究会にも19チームが参加し、互いの技術を磨き合った。

 この中で特に注目されている集団がある。奥澤翔さん率いる技術者4人がつくる「チーム奥澤」だ。クライマーを移動させる技術で世界最高度の1100メートルを達成、スピード制御技術でも高く評価されている。

 千葉市の幕張メッセで9月23日まで開催中の「2014宇宙博」にチーム奥澤のクライマーが展示されている。大手企業ではなく、個人資格でチャレンジする奥澤さんらの姿は日本の潜在力の証だろう。

 地上から宇宙エレベーターで上って、居住区域の宇宙コンプレックスにしばらく滞在する。それほど遠くない未来に、そんな光景が実現するかもしれない。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

ランキング