ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
科学
【This Week】(8月25~31日) 宇宙開発利用方針 8月29日に正式決定
更新
宇宙空間を利用した弾道ミサイル対処のイメージ=2014年8月24日現在 防衛省がまとめた新たな宇宙開発利用に関する基本方針案の全容が判明した。宇宙を、北朝鮮の弾道ミサイル発射の兆候や発射情報を早期に探知し即応するための「対処空間」と位置付け、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して進める実証研究を重点的取り組みとして明記した。宇宙監視部隊創設や比較的打ち上げが容易な小型衛星の調査研究に着手することも盛り込んだ。8月29日に正式決定する。
年内に改定する日米防衛協力指針(ガイドライン)で宇宙分野の日米連携は重要項目の一つ。新方針の内容が反映される見通しだ。
新方針は「弾道ミサイルの飛来など各種事態に対処するための宇宙空間の利用が極めて重要」と指摘した。防衛省が開発した高性能の赤外線センサーを文部科学省とJAXAで計画中の新型衛星に搭載して宇宙で実証研究し、衛星画像の解析技術を蓄積する。共同研究自体は昨年4月に始まっている。防衛省は2015年度予算の概算要求に48億円を計上する方針だ。
役割を終えた人工衛星や破片など宇宙を漂う「宇宙ごみ」の増加や、人工衛星を攻撃する兵器の開発が進んでいることを受け「宇宙空間の安定的利用に対する重大な脅威が存在している」と分析。宇宙監視を任務とする専従組織設置の検討を打ち出した。
現行4機の情報収集衛星による情報収集能力を補強するため、小型衛星システムの研究に乗り出す。陸海空の自衛隊の一体運用を進めるため、部隊間の連絡に使う通信衛星を16年度から防衛省が主体的に整備することも盛り込んだ。
基本方針は08年の宇宙基本法の成立を受けて防衛省が09年に初めて策定。安全保障目的の研究を可能とするJAXA法改正や昨年末の新防衛大綱の策定を受けて、見直し作業を進めていた。(SANKEI EXPRESS)
・弾道ミサイルなど各種事態に対処するための宇宙空間の利用が極めて重要。衛星攻撃兵器の開発など脅威が存在
・宇宙は北朝鮮の弾道ミサイル発射の兆候や発射情報を早期に探知し即応する「対処空間」。JAXAが計画する新型衛星に赤外線センサーを搭載し、宇宙で実証研究
・宇宙監視部隊の創設検討
・情報収集強化のため打ち上げが容易な小型衛星の調査研究に着手