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科学
「秋バテ」を乗り越える 大和田潔
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秋葉原駅クリニック院長、大和田潔さん。診療と執筆で多忙な毎日だが、ランニングと水泳を欠かさない。「体が軽くなれば動くのが楽しくなる。運動をすれば気持ちも前向きになる」=2014年9月2日(塩塚夢撮影)
すっかり涼しくなり、秋も深まってきました。夏の猛暑で食欲が落ちて消耗したり、熱そのもので体調を崩したりすると「夏バテ」とよばれます。気温も下がり本当は快適な季節のはずなのに、倦怠感(けんたいかん)が続いて疲れが取れない感じがしたり、首や肩のコリが取れなくて不快な感じしたりする…。そういった症状は「秋バテ」と呼ばれます。
夏の間の猛暑による熱疲労とも呼ばれる消耗や、冷房の使い過ぎによる体調不良を引きずったまま、気温や気圧の変化の多い秋に突入することで体調不良が起きてくるものです。たとえば台風14号が本州の南を通り過ぎた9月初旬に、体調不良を訴えた方が多くいらっしゃいました。肩こりや頭痛だけでなく、なんとなく体が重くてむくんだ感じがする、食欲がなく元気が出ない、寝た感じがしないなどの症状を訴える方が多かった印象があります。
気温が20度を超えているため、夏が続いているように錯覚して暑いときと同じような生活を続けるのもあまり良くありません。冷たいビールをゴクゴクのんだり、アイスバーを夏と変わらずに食べていたり、冷房の設定をそのままにしていたりすると体を冷やし過ぎることになります。人間は、一定の体温を保つためにエネルギーをたくさん使っているため、体を冷やしすぎると疲労の原因となります。また、体温低下は免疫力を落とすため、風邪をひきやすくなります。
夏は明け方28度ぐらいで最高気温が32度ぐらいなので1日の気温差は4度ですが、秋になると最低気温が19度で最高気温が28度と約10度もの気温差がある日も出てきます。この気温差は、体内の環境を一定に保とうとするホメオスタシスの働きに大きな負担となります。それに加え秋雨や台風が来た時には、気圧の変化も大きくなります。
こういったときには、あまり体に負担をかけないようにするということが解決につながります。例えば、室温が下がりすぎないようにして、涼しいときには温かい飲み物を飲んで体温をたもったり、薄い上着を持ち歩いて気温の変化に対応したりするというのも良い方法です。だるいときには、体は休養を求めています。予定をゆったり組むのも良い解決策です。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)