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運動は本来楽しいもの 大和田潔

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの科学

運動は本来楽しいもの 大和田潔

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 【青信号で今週も】

 秋は運動会のシーズン。子供たちを見ていると、いつも楽しそうに走り回っていて、何かを見つけ何かに感動しています。じっとしていません。時間が来てプールや公園から帰らなくてはいけない時に、もっと遊んでいたいと泣く子供たちにもよく出会います。

 子供のころはあんなに運動が好きだったのに、大人になって運動しないということは不自然なことです。大人も楽しく運動をすることができるはずです。もし運動して、つらいとすると、その方法に何か問題があるに違いありません。決して運動イコール我慢ではないはずです。

 少し運動について科学的に考えてみましょう。私たちが体を動かすときには、体に蓄えられた脂肪や糖分を、肺から取り入れた酸素で燃やすことでエネルギーを作り出しています。そのエネルギーを使って筋肉を伸縮させ、関節を介して体を動かします。その繰り返しが運動となります。

 体に蓄えられた糖分はわずかなので、運動するとすぐに枯渇してしまいます。その後は、蓄積された脂肪を少しずつ分解して血液中に放出させて利用することになります。筋肉を動かすと乳酸などの老廃物質が発生しますが、血液によって運び去られたり筋肉内でエネルギー源として再利用されたりします。筋肉内に一定以上の老廃物質が蓄積すると、動かせなくなります。

 もし、蓄積された脂肪から順調に栄養が供給され、肺から酸素が十分に取り込まれて心臓によって筋肉に送り出され、筋肉の循環が良くて老廃物質がたまりにくいという好条件が整えば、疲れることなく運動を続けることができるでしょう。軽い運動から少しずつ始めていくと、エネルギー供給能力や心肺機能、筋肉の質といったそれぞれの能力が高まっていきます。

 汗をかいて体温を調節する能力や、関節の可動性、靱帯(じんたい)や腱の強さも次第に整っていくことになります。こういった複合的な能力を少しずつ上昇させていく醍醐味(だいごみ)が味わえます。つらいようなら、運動の強度や量を下げればよいのです。次第に上達していきます。涼しくなりました。子供が楽しく動き回るような感覚を思い出して、体を動かしてみましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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