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【にほんのものづくり物語】庄内のIT有機農業

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【にほんのものづくり物語】庄内のIT有機農業

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出羽三山の清らかな地下水と庄内平野の豊かな土壌、そしてITによる生産管理によって生産される「窪畑ファーム」=山形県鶴岡市(提供写真)  ≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫

 さまざまな種類のトマトが、ショーケースに果物やスイーツのように並ぶトマトの専門店。最近は糖度の高さゆえ野菜なのか果物なのか?という「ブランドトマト」が多くみられるようになりました。出羽三山の清らかな地下水と庄内平野の豊かな土壌、そしてITによる生産管理によって生産される「窪畑ファーム」のトマトもその一つ。今回は地元の建設業から農業へ異業種参入を果たし、地域のブランド化にも取り組む「窪畑ファーム」代表の山本斉さんを山形県鶴岡市に訪ねました。

 「窪畑ファーム」の母体は地元・鶴岡市の総合建設会社「山本組」。近年多くの企業が模索する異業種参入の一例として、全国的に注目されています。

 農業参入のきっかけは公共事業の縮小により厳しい状況にある建設業界で、社員の雇用を維持するために、本業以外の収益事業を探していたことから。たまたま新聞で読んだ「アニス農法」という有機栽培の土作りへのこだわりに閃(ひらめ)きを感じ、すぐに、この農法を開発した千葉県の企業まで視察に行き、そこで食べたパプリカの美味(おい)しさに感銘を受けたのが決め手となりました。

 建築業のノウハウを生かし、もともと持っていた遊休地にハウスを建て、作付けを始めたのは視察の1年後のことでした。アニス農法は微生物を利用した培養土を使い、コンピューター制御によりハウス内の温度・湿度・水の調整を管理することができるため、農業経験が豊富でなくても効率の良い生産が可能になります。とはいえ、有機農業に取り組む地域は多く、差別化が課題。そこで選んだのが、あまり市場で流通していなかった高品質のトマトです。完熟し糖度が高いトマトは高級フルーツのような付加価値が期待でき、価格を自分で決定できるところが魅力でした。

 山本さんの発想力と判断力のもとにさまざまな取り組みが始められます。完熟トマトの良さを伝える『普通のトマトは水に浮くが、密度が高いトマトは水に沈む』というキャッチフレーズが話題となり、生産物を無駄なく使用するためにジュースやジャムなどさまざまな加工品も生まれました。そして、野菜スイーツ専門パティシエ柿沢安耶氏との出会いが「窪畑ファーム」の名を全国に広めることになります。スイーツの素材としてテレビや雑誌にも取り上げられたことで人気が高まり、農業参入初年度から成果をあげることに成功したのです。

 現在20~50代まで30人ほどの社員と、専業、兼業農家からの応援人員で取り組んでいます。地方農家は作付面積の減少で、専業ではなかなか食べていけないのが現状。山本さん自身も事業の中で農業の占める割合はまだまだ大きいとはいえません。しかし、作物のブランド化、新規農業システムの成功例を示すことで、地域農業の新しい展開や、若い世代の育成につなぐことができます。母体の建設業は地域に密着した基幹産業であり、農地の造成など地域の活性への新しい循環が生まれていくはずです。

 『体にまっすぐな美味しさを!』をモットーとし、「味が良い」だけでなく食育を実践できるような、ものづくりを目指したいと言う山本さん。ブランドトマトの主な顧客層である女性に向けて、内側から美しくする「食」と、外から美しさを導く化粧品の連動をという考えから、減圧蒸留装置で得られるトマト蒸留水をベースにした美容液にトマトエキスを加え、潤いと香りも楽しめる「美容マスク」も誕生しました。国内生産量ベスト3に入る山形ブドウでワイナリー構想も進行中。フルーツ王国山形のラフランスやブドウ、地元湯野浜温泉などは化粧品の素材としても魅力的で、チャレンジの幅が広がります。山本さんは今、観光協会の理事として、一人でも多くの観光客を呼ぶための地域のブランド化を目指しています。

 鶴岡市は、この12月に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の「食文化創造都市」認定を目指し申請中。時代の流れを受け止めながら変化する、庄内地方の美味しい資源、食文化はまだまだ奥深さを秘めていそうです。(SANKEI EXPRESS

 ■山本斉(やまもとひとし)さん 1958年山形県鶴岡市湯野浜生まれ、工学院大学専門学校土木科卒業後、都内建設会社に入社、地下鉄工事などに従事、86年に帰郷し(株)山本組に入社。地域の道路改良工事、港湾工事にを担当する。2003年(株)山本組の代表取締役に就任。07年6月よりアグリ事業部を設立、翌年よりトマト栽培を開始。09年7月より食品加工事業を開始。10年4月からトマト直売所ファーマーズマルシェをリニューアルオープン、現在に至る。

問い合わせ先:株式会社山本組(窪畑ファーム)

〒997-1117 山形県鶴岡市下川字窪畑105の1。(電)0235・75・2334、(FAX)0235・75・2316。www.kubohata-farm.com/

「庄内美人_恋してトマトのフェイシャルマスク」。<1枚>378円(税込み価格)。<3枚箱入り>1134円(税込み価格)。発売元:窪畑ファーム。(電)0235・75・2334。商品企画:株式会社グランデュール www.grandeur-gd.co.jp/

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