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アメリカの「食」の魅力伝える
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「多様性を受け入れ、それが時ともに変化していく。そこにアメリカの魅力があり、料理の魅力にもなっています」と話す、シェフ兼レストラン経営者のバーバラ・リンチさん=2014年7月1日、東京都港区の駐日米大使公邸(佐野領撮影) どこの街にも大手外食チェーンのファストフードがあり、友人とのパーティーでは宅配ピザが定番…。アメリカの「食」というと、こんな画一的なイメージを持つ日本人が多いかもしれない。でも、広大な国土と地域性豊かな気候に恵まれ、さまざまな文化を背景に抱える移民たちが数世紀にわたって独自の価値観をつくってきたアメリカは、本来、多様性と変化に富んだ国柄だ。当然、「食」にもさまざまな魅力がある。アメリカ文化のルーツとも言える北東部ボストンを拠点に活躍するシェフ兼レストラン経営者のバーバラ・リンチさんの料理を取材した。
ボストンを中心とするニューイングランド地方は、何百万人に及ぶ移民たちを迎えた海の玄関だった歴史を持つ。海の幸はもちろん、農業や酪農が盛んで食材に恵まれ、この地方の料理にはいまも多くのアメリカ人が「故郷の味」を感じるそうだ。
「ニューイングランドの人々は『漁師と農家の舌を持つ』と言われています。材料がいいので、シンプルな調理法が定番」
こう話すリンチシェフが最初に振る舞ってくれたのは、特産のハマグリをたっぷり使ったクラムチャウダー。白ワインで加熱したハマグリの煮汁とミルク、ヘビークリーム(脂肪分36%以上の生クリーム)で、とろとろに煮込む。ユーコンゴールドというやや楕円(だえん)形のジャガイモを皮まで使い、独特の香ばしさを出すのがリンチ流だ。
「ジャガイモは丁寧に皮をむき、その皮をミキサーにかけて残さず使う。ささっと簡単に作るのではなく、落ち着いて食材に向き合い、手作りしていくのが本来のアメリカの料理です」
料理には料理する人の人柄がにじむ、と語るリンチシェフの調理法は、ファストフードとはまったくの別物に思える。
メーン州産の新鮮なロブスターを使った料理もニューイングランド地方を代表する味覚だ。ボストンの家庭では、専用のロブスターカッターが常備品だという。リンチシェフが腕を振るってくれたのは「蒸しロブスター、パースニップ・ピューレとマッシュルームのピクルス添え」。パースニップはニンジンに似たセリ科の根菜で、淡泊ながらもほのかな甘みと苦みがあり、うまみが詰まったロブスターを上手に引き立ててくれる。
デザートにはアップルパイをタルト風に仕上げた「アップル・クロスタータ」が振る舞われた。
リンチシェフは「アメリカには、それぞれの地方に風土と歴史に根差した料理がある。ここにおいしいものがある、ということをもっと世界の人々に知ってもらいたい」と力を込めた。(EX編集部/SANKEI EXPRESS)
アメリカ合衆国を訪れる観光客の増加を目的に、マーケティング・PR活動を行うブランドUSAでは、アメリカの「食」の魅力を紹介するレシピブック「極上のアメリカンフードストーリー」をネット上で公開している。HP:DiscoverAmerica.com/foodstories