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オバマ氏 温暖化対策で米中協調求める

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オバマ氏 温暖化対策で米中協調求める

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 バラク・オバマ米大統領(53)は23日にニューヨークで開かれた国連の気候変動サミットで演説し、米国と中国が地球温暖化防止のために共同歩調で指導力を発揮すべきだとの立場を表明した。オバマ氏はこれまでに、米議会の一部や産業界の反発を承知のうえで、米国内での温室効果ガス排出量削減策を強化してきた。今回の演説では中国にも同様の政治決断をとるよう促した形だ。中国も国内の大気汚染の深刻化を受けて排出量削減に前向きだとも言われるが、実際にどのような対応をとるかは不透明。2020年末以降の気候変動対策の枠組みを決める来年の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向け、米中の駆け引きが続きそうだ。

 17%削減に強い意欲

 「米中は特別な役割を担っている。大国にはやらねばならないことがある」

 オバマ氏は演説で、経済規模と温室効果ガス排出量の双方で世界1、2位である米国と中国が地球温暖化防止対策に率先して取り組むべきだとの立場を示した。

 オバマ氏には気候変動問題で苦い経験がある。就任1年目の09年にコペンハーゲンで開かれたCOP15で、京都議定書第1約束期間の効力が切れる12年末以降の気候変動対策の枠組みでの合意を目指したが、排出量削減が経済活動の足かせになることを懸念する中国など新興国から反発を受けて失敗。その後、国際交渉の場では目立ったリーダーシップをとれなかった。

 しかし、オバマ氏は米国内では風力発電など再生可能エネルギーの導入促進、自動車の燃費基準の強化、既存の石炭火力発電所に対する二酸化炭素排出量の規制強化を打ち出すなどしてきた。オバマ氏は演説で「就任時に比べて、風力発電は3倍、太陽発電は10倍になった。今後10年以内に自動車の燃費は2倍になる」と強調。09年に示した20年までに05年比で排出量を17%削減するという目標を達成すると意欲を示した。

 中国は国際公約には難色

 オバマ氏はここにきて国際社会でのリーダーシップ発揮を目指すのは、温暖化対策を自らのレガシー(政治的遺産)に加えたいためだとみられている。オバマ氏の動きには石炭産業を擁するケンタッキー州選出のミッチ・マコネル共和党上院院内総務(72)をはじめとする共和党サイドが猛反発しているが、オバマ氏は議会の承認が不必要な、各国が自主的に温室効果ガスの排出量削減を約束する仕組みを想定しているとも報じられている。

 ただし、一方の中国がどのような対応をとるかは見通せていない。中国は北京などでの大気汚染の深刻化が国民の反発を招いていることを受け、自主的な温室効果ガス排出量削減策をとっているが、国際社会の場で排出量削減を約束することには否定的だからだ。これまでの国際交渉では「過去に温室効果ガスを排出して経済発展を遂げてきた先進国が率先して削減に取り組むべきだ」と繰り返してきた。今回のサミットには習近平国家主席(61)は出席していない。

 両国の立場に残る大差

 張高麗副首相(67)はサミットでの演説で「中国は気候変動問題への対策を一層強化し、中国の状況に見合った国際的な責任を負う」と述べた。「中国の状況に見合った」との文言は、まだ経済発展が必要な中国と先進国である米国との立場は違うという主張の表れだ。

 各国は昨年11月にワルシャワで開かれたCOP19で、来年1~3月期までに20年末以降の削減目標に関する「約束草案」を示すことで合意した。米中はこれに従い、来年の早い段階で削減目標案を示すとしている。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長(70)はサミット後の総括で、「世界の首脳は今年12月にリマで開かれるCOP20で新枠組みに関する草案を起草することを約束した」とし、COP21での「意味ある合意」に意欲を示した。

 しかし、米中がともに責任を果たすというオバマ氏の立場と、中国は中国の状況に見合った責任を果たすという中国側の立場には大きな差が残っていることは否定できない。米国では11月の中間選挙で民主党が上院での多数を失えば、オバマ政権がレームダック(死に体)化することも想定され、オバマ氏が目指す米中協調による地球温暖化対策には険しい道のりが待っている。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS

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