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痛み止めによる薬物乱用性頭痛 大和田潔

 今年9月末、江東区文化センターで頭痛の市民講演会を行いました。頭痛は、風邪や二日酔いの症状でも起きてきます。また、クモ膜下出血などの脳の病気でも頭痛は起きてきます。けれども、こういった他に何も思い当たる原因もなく、繰り返しひどい頭痛が起きることがあります。片頭痛と呼ばれるものです。

 月経で起きてくる片頭痛である月経関連片頭痛は多くの女性が経験するものです。男性も疲れると頭痛がしたりします。そのため、片頭痛をわずらう方はとても多いことが知られるようになりました。

 講演会では片頭痛のバリエーションや一緒に起きてくる随伴症状をお伝えし、それらへの対応方法についてお話ししました。

 その中でも「薬物乱用性頭痛」の話題に、多くの時間を割きました。私たちは、体のどこかが痛いときに痛み止めを飲むことがあります。内服してしばらくすると、痛みが和らいできてホッとします。人類は痛み止めを求めてきたと言っても過言ではありません。ツタンカーメンは足の痛みを抱えていたといわれていますし、ローマ時代には痛風の痛みに悩む人が大勢いたようです。

 痛み止めは、柳の枝の成分から発見されて精製、合成されるようになったサリチル酸から始まります。その後、より作用を高めたアセチルサリチル酸がドイツのバイエル社で開発されました。アセチルサリチル酸は、現在でもバファリンやエキセドリンに使われています。日本では、温泉の洗面器で有名なケロリンに使われています。

 プロスタグランジンという物質が作られると、私たちは痛みを感じます。アセチルサリチル酸は、プロスタグランジンを作り出す酵素をブロックして痛みを減らしてくれます。効果を高めるため、痛み止めにカフェインや鎮静成分を混ぜた薬も販売されています。

 元になる原因を解決しないで、こういった痛み止めを連用していると、痛み止めが切れることでより強い痛みが起きてくるようになります。頭痛の場合は「薬物乱用性頭痛」と呼ばれます。痛み止めが手軽に手に入る環境になりましたが、常用すべき薬ではないことを覚えておきましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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