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経済
【This Week】(10月13~19日) 再建果たした米ビッグ3 競争激化で前途多難
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記者会見するフィアットのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)=2014年9月26日、米ミシガン州(ゲッティ=共同) 米クライスラーを傘下に抱える欧州自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が13日にニューヨーク証券取引所へ上場し、米株式市場に米自動車大手3社(ビッグスリー)が再びそろう。2000年代に経営破綻や危機に瀕(ひん)した3社は再建を果たした。いずれも成長加速を狙うが競争は激化しており、道は険しい。
「当社は競合企業の買収や合併なしに、18年の販売台数で700万台を達成する資源と潜在力を持つ」。FCAを率いるフィアットのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(62)=CEO=は5月、13年実績を5年後に約6割引き上げる計画を発表した。「生き残りには規模が必要」が持論で、以前、スズキやマツダにも接近したとされる。
クライスラーは09年、ゼネラル・モーターズ(GM)と同様にリーマン・ショック後の販売急減で経営破綻し、米政府が支援。クライスラーはフィアットの傘下に入り、FCAは販売台数で世界7位の自動車メーカーに浮上した。
FCAの成長を牽引(けんいん)するのが、18年に約2.6倍の190万台を目指すクライスラーのスポーツ用多目的車(SUV)ブランド「ジープ」だ。ジープは米国で1~9月の累計販売台数が前年同期比45.3%増と躍進した。GM、フォード・モーターに比べ、出遅れた新興国開拓の切り札となる。
00年代に経営危機に直面した世界6位のフォードも、厳しいリストラで自力再建を果たし、新興国中心に販売拡大を狙う。20年までに13年比で約5割増の年約940万台を売る計画だ。
だが、13年のグループ世界販売が約998万台に達するトヨタ自動車や、2位のドイツのフォルクスワーゲン(VW、約973万台)は1000万台超えを視野に入れ、FCA、フォードにとって世界トップの背中は遠い。
一方、世界3位のGMは10年に再上場し、政府支援も昨年終えて自立路線に回帰した。しかし、今年2月に乗用車の欠陥放置問題が発覚。14年に公表したリコール(無料の回収・修理)は3000万台超と、年間販売台数の3倍強に達した。
GMの14年4~6月期最終利益はリコール関連費用の計上が響いて前年同期比84%減と大きく落ち込んだ。採算悪化が続けば「研究開発費にも影響し、トヨタやフォードなどに後れを取る環境対応車の開発で一層の差がつきかねない」(アナリスト)との指摘も出る。(共同/SANKEI EXPRESS)