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ハリポタも「模倣大国」頼み 北京にユニバーサル・スタジオ
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今年7月にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)にオープンした映画「ハリー・ポッター」の新エリア=2014年8月7日、大阪市此花区(共同) 映画の世界を体験できるテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」が北京に建設される。運営会社の米ユニバーサル・パークス・アンド・リゾーツが13日発表した。中国の国有企業と共同で建設し総事業費は33億ドル(約3500億円)を見込む。大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の2倍以上の広さになり、人気映画「ハリー・ポッター」エリアも設ける。中国では米ディズニーランドも来年、上海に開業する。ハリポタエリアとそっくりな施設が建設されるなど知的財産権にルーズで“ものまねコピー”が氾濫する中国だが、映画興行に加え、テーマパークでも米ハリウッドの中国頼みが鮮明だ。
「われわれは、高い人気を誇る西洋のエンターテインメントと中国の豊かな文化遺産にスポットを当てたユニークな経験を提供します」。ユニバーサル社のトム・ウィリアムズ会長兼最高経営責任者(CEO)は、北京ユニバーサル・スタジオについてこう説明。中国側の北京首寰文化旅遊投資(BSHインベストメント)のドゥアン・チャン会長も「世界最高のテーマパーク。中国人は映画やエキサイティングな娯楽が大好きだ」と、両社の合意を喜んだ。
ユニバーサル・スタジオは世界5カ所目で、アジアでは大阪、シンガポールに続く3カ所目。開業時期は明らかにしなかった。米メディアによると、敷地面積は約120ヘクタールでハリポタやスパイダーマン、トランスフォーマーなどの人気映画のほか、中国をテーマにした独自アトラクションも設ける。
建設交渉は13年前に始まったといい、チャン会長は「この13年間に中国人民の生活水準は大きく改善した。いまや毎年2億5000万人が中国各地から北京に旅行するようになった。この巨大市場は、われわれの計画に自信を与えてくれる」と述べ、集客に強い期待を示した。
中国では、ディズニーランドが香港に続き上海で開業するほか、アニメ映画「シュレック」などを手掛ける米ドリームワークス・アニメーションも上海でパーク建設を計画している。
ハリウッドの中国依存は高まるばかりだ。ハリウッド・リポーター誌によると、今年上期の中国での米映画の興行収入は前年同期比22%増の21億6000万ドル(約2300億円)と大きく伸び、米映画が中国映画市場全体の約52%と半分以上を占めた。
映画作りも中国市場を強く意識したものとなり、今夏公開された「トランスフォーマー/ロストエイジ」は、中国国有企業との“合作”で中国のシーンがふんだんに登場し、一部で「媚中(中国に媚びた)映画」とも揶揄(やゆ)された。
一方でハリウッドにとって世界最大の海賊版DVDの生産国である“コピー天国”の中国は天敵だ。当局による検閲は日常茶飯事で、「表現の自由」も保障されていない。
河北省でハリポタに登場するホグワーツ魔法魔術学校とそっくりな美術大学が建設されたほか、浙江省でも日本の遊園地「富士急ハイランド」のお化け屋敷「慈急総合病院」に酷似したアトラクションが登場し世界の失笑を買った。それでも、ハリウッドは中国を目指す。
「すでに劇的に改善している」。今月に入り再び悪化している北京の大気汚染問題について聞かれたユニバーサル社のウィリアムズ会長は、こう言っておもねった。(SANKEI EXPRESS)