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不安払拭へ…ハグ過剰演出 オバマ大統領、エボラ生還の看護師招待
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エボラ出血熱の感染が確認された国=2014年9月5日現在 バラク・オバマ米大統領(53)は24日、エボラ出血熱を克服し、この日ワシントン近郊の国立衛生研究所(NIH)から退院した女性看護師、ニーナ・ファムさん(26)をホワイトハウスに招き、抱擁(ハグ)を交わして治癒を喜んだ。大統領と退院直後の元患者の面会は異例で、しかもハグまでして迎えるのは安全保障上、問題があるのではないかとの指摘もあるが、オバマ氏は25日の週末恒例のビデオ演説で「恐怖ではなく、科学的事実に基づいて行動すべきだ」と強調。安心を演出することで国民に不安が広がるのを抑える狙いが見てとれた。
ファムさんは、米国内で初めてエボラ熱患者と診断されたリベリア人男性=死亡=が先月28日に入院したテキサス州ダラスの病院で、この男性の治療に携わっていた際に二次感染。米国内で感染した初のケースとなった。ダラスの病院で、リベリアでエボラ熱にかかった後、米国で治療を受けて回復したケント・ブラントリー医師(33)から抗体を含む血漿(けっしょう)の輸血を受け、NIHに転院していた。
退院に際し、ファムさんはNIHの前で記者団に「私は今日この場に立つことができ、幸運で恵まれていると思う」と笑顔を見せながら語った。その後、ファムさんはホワイトハウスで大統領と面会。オバマ氏はややぎこちなかったが、カメラマンたちの前でファムさんを抱きしめてみせた。直後の大統領報道官の記者会見では、ホワイトハウス詰め記者が「ハグはやり過ぎで、やめた方が良かったのではないか」と質問。ジョシュ・アーネスト報道官(37)は「大統領は(感染の)リスクは全く心配していない。米国には世界で最も優れた医療インフラがあることを国民に思い出してもらういいきっかけになった」と説明した。オバマ氏自身も週末演説で、ハグでファムさんをホワイトハウスに迎えたことに触れ、「エボラ熱は簡単には感染せず、感染しても回復が可能だ」と力説した。
ファムさんと同じ病院で同じ男性の治療中にエボラ熱に感染したもう一人の女性看護師、アンバー・ビンソンさん(29)が入院しているジョージア州アトランタの病院も24日、ビンソンさんの血液からエボラウイルスが検出されなくなり、健康状態がかなりよくなってきていると発表した。近く、退院できる見込みという。
一方、米疾病対策センター(CDC)は24日、エボラ熱検査で陽性となりニューヨークの病院で隔離治療中の男性医師(33)について、感染を確認したと発表した。西アフリカのギニアから帰国後の23日、発熱の症状を示していた。米国でエボラ熱と診断されたのは4人目。事態を重視したニューヨーク州と隣のニュージャージー州は24日、海外でエボラ熱患者と接触した全ての医療関係者を対象に帰国時、最長潜伏期間とされる21日間にわたり、強制的に隔離することを決めた。
男性医師は帰国後、地下鉄を使ってボウリング場に出掛けていたことが分かり、市民の間に不安が広がっていた。しかし、オバマ氏は週末演説で「ニューヨークの人々はバスに飛び乗り、地下鉄や混雑したエレベーターに乗り、仕事に向かい、公園に集まるという日常を決意を持って続けている」とたたえ、「こうした心意気は、エボラ熱に共に立ち向かう米国民のお手本になる」と、自らをも鼓舞するように語った。(SANKEI EXPRESS)