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【エボラ出血熱】対応後手 WHO批判厳しく

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【エボラ出血熱】対応後手 WHO批判厳しく

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エボラ出血熱の感染が確認された国=2014年9月5日現在  西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱をめぐり、世界保健機関(WHO、本部・ジュネーブ)への風当たりが厳しくなっている。初期の対応が遅れて後手に回り、感染拡大を防げなかったとの批判が出ているためだ。まずは封じ込めを優先させる必要があるとはいえ、その対応の是非は今後議論になりそうだ。

 「宣言」までに5カ月

 「多くの要因が説明される必要があるのは分かっているが、それを行うのは将来だ。今は対応に集中する」。WHOの報道官は21日、こう語り、状況が安定したら組織としての対応を検証する考えを強調した。

 西アフリカではナイジェリアなど2カ国で終息宣言が出たが、発生地域のギニア、リベリア、シエラレオネでは流行の勢いは衰えていない。感染者(疑い例含む)はスペインと米国を含む7カ国で9000人超に上り、死者は約4600人。今年12月には最高で週に1万人ずつ感染するペースになるとの指摘も出た。

 感染は昨年12月、ギニアで始まり、今年3月にWHOが確認した。すでに現地で活動していた「国境なき医師団」(MSF)は「かつてない感染規模」と警告したが、WHOの反応は鈍く、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したのは8月だった。

 専門家は対応が遅れた背景に、WHOが現地の事務局や発生国に当初の対応を主導させたことや、現地との連携を欠いたことなどを指摘。2009年の新型インフルエンザをめぐる世界大流行(パンデミック)宣言を「過剰反応」と批判されたことが、慎重姿勢につながったとの見方もある。

 エボラウイルスの共同発見者であるピーター・ピオット氏は「宣言までに5カ月を要してしまった」と述べ、この間の対応の遅れが感染拡大の重大な要因となったとの見解を示す。

 ミス認める内部文書

 WHOも批判を認識しているようだ。AP通信は17日、「対応に関与したほぼ誰もが簡単な予兆を見誤った」とするWHOの内部文書を報道。文書は、医療システムが崩壊した地域では伝統的な封じ込め手段は機能しないと気づくべきだった、とも指摘していた。

 ただ、別の専門家は「WHOを責めるなら、全世界もある意味でミスを犯している」と指摘。MSFの関係者は、関係組織の活動を検証すべきだとしつつ、「われわれは何カ月も援助を訴えている」と国際社会のさらなる支援の必要性を強調した。(ベルリン 宮下日出男/SANKEI EXPRESS

 ≪米、入国経路を5空路に限定≫

 米国土安全保障省は21日、エボラ出血熱の感染が拡大する西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアからの空路による入国について、検疫の特別態勢を敷いているニューヨークのケネディ空港など5空港に限定すると発表した。22日から実施する。

 3カ国から米国への直行便はないが、航空会社の協力を得て、乗り継ぎで5空港以外に到着する渡航者に空路の変更を求める。

 5空港はケネディ空港のほか、近隣のニューアーク、ワシントン近郊のダレス、シカゴのオヘア、アトランタの各空港。

 3カ国からの渡航者は1日150人程度で、94%は5空港に到着する。残り6%も5空港に集中させることで感染者の入国を確実に把握する狙いがある。

 一方、米国立衛生研究所(NIH)は21日、メリーランド州ベセスダの医療施設で治療を受けている看護師のニーナ・ファムさん(26)の健康状態が改善していると発表した。(ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS

 ≪来年1月にもワクチン投与開始≫

 WHOのキーニー事務局長補は21日、開発中のエボラ出血熱のワクチンについて、早ければ来年1月にも感染が深刻な国で投与を開始する意向を示した。

 AP通信によると、キーニー氏は記者会見で、現在計画中の試験の結果が年内に出る見込みで、安全性や効果が確認されれば、使用を始めるとした。量に限りがあるため、医療従事者への投与を優先させるが、年明け以降、数カ月で数万人分を分配する見通し。

 使用が見込まれるワクチンは2種類。英製薬大手グラクソ・スミスクラインとNIHが開発したワクチンと、カナダ保健当局が開発した「VSV-EBOV」。

 一方、アフリカ大陸以外で初めてエボラ出血熱に感染したスペインの女性看護師(44)が21日、完治した。治療していたマドリード市内の病院が発表した。女性は19日の検査で陰性となり、2度目の検査でもウイルスが検出されなかった。

 女性は西アフリカのリベリアとシエラレオネから搬送された患者の治療に関わった後、感染が確認。治療では富山化学工業が開発したファビピラビルや米製薬会社が開発中の治療薬「ZMapp」が使用されたとも伝えられている。

 病院は女性の夫を含む接触者15人の観察措置をとっているが、いずれも症状は出ていないという。(ベルリン 宮下日出男/SANKEI EXPRESS

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