SankeiBiz for mobile

【エボラ出血熱】「過剰反応」 全米ピリピリ 医療従事者のガイドライン厳格化

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

【エボラ出血熱】「過剰反応」 全米ピリピリ 医療従事者のガイドライン厳格化

更新

エボラ出血熱の感染が確認された国=2014年9月5日現在  米テキサス州の病院でエボラ出血熱で死亡した患者の検体に触れた可能性がある女性職員が乗ったカリブ海クルーズ船「カーニバル・マジック号」が19日、中米ベリーズやメキシコに入港を拒否された末、出港した米テキサス州ガルベストンに戻った。女性は他の乗客と接触を持たぬよう自主的に部屋にこもったまま過ごしたが、下船した乗客は「怖かった」と船内がパニック状態だったことを暴露。米保健当局は、医療従事者の二次感染を防ぐため、従事ガイドラインを厳格化する方針を19日に発表したが、全米ではここ数日間にエボラ熱感染への過剰反応ともいえる騒動が相次いでおり、「火に油を注ぐ」との指摘も出されている。

 放浪船帰港、職員は陰性

 AP通信によると、女性職員は19日、検査で陰性と判明し、終着点であるガルベストンで下船、夫とともに帰宅した。女性は検査担当で、テキサス州で死亡したリベリア人男性の血液などのサンプルを9月下旬に扱った。潜伏期間から逆算して女性がまだ発症する可能性もあったため、米国務省が17日に女性の乗船を発表、これが逆にパニックを引き起こす結果となった。

 船には4000人以上が乗っており、女性は結局、客室を出ずに夫と過ごした。ロイター通信によると、入港前に血液のサンプルを提供。サンプルは検査のためヘリコプターで運ばれ、陰性が確認されたため、下船することができた。

 他国を巻き込む国際ニュースとなったため、クルーズ船の“放浪”は大きく報じられたが、ここ数日間に起きた米国での騒動はこれだけではない。米紙ワシントン・ポストやCBSテレビ(いずれも電子版)によると、バージニア州にある米国防総省内をめぐるバスツアーに参加していた女性が17日、省内の駐車場で嘔(おう)吐(と)。この女性が警察官に「最近、アフリカを旅行した」と明かしたとの情報が駆けめぐり、駐車場が封鎖される騒ぎになった。結局、女性はパスポートすら持っていないことが分かり、封鎖はその後解除された。

 駅で嘔吐、封鎖騒ぎに

 またロイター通信や米紙USAトゥデー(電子版)によると、18日にはテキサス州ダラス市の高速旅客輸送システム(DART)のホワイトロック駅で、北回りの列車を下車した女性がプラットホームで嘔吐。地元テレビ局が、この女性が感染の危険性がある監視者リストに掲載されていると報じたため、防護服姿の救急隊員らが駆けつけ、駅が約3時間封鎖される騒ぎとなった。女性は病院に運ばれたが、監視者リストに載っていないことが判明し、解放されている。

 過熱する感染騒ぎを受け、米保健当局が19日に発表した新たな従事ガイドラインは、患者の治療にあたる際、肌や髪の毛の露出を完璧に避けることを義務化。米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・フォーシ所長は「体全体を防護服などで覆うのは、世界保健機関(WHO)が定めたガイドラインの一歩先を行くさらに厳しい内容」と医療従事者らへの二次感染を防ぎきることに自信を示した。

 チャック・ヘーゲル国防長官(68)も19日、米本土を管轄する北方軍(司令部・西部コロラド州)にエボラ熱に対処する医療支援チームを編成するよう指示。国防総省のカービー報道官は、チームは医師と医療トレーナー各5人、看護師20人の計30人で構成し、1週間で派遣準備を整えると明らかにした。

 国防総省は、医療チームはアフリカには送らず、必要に応じて米国内の医療機関に短期間派遣するとして万全の備えを強調するが、「逆に感染拡大の可能性があるということだ」と不安視する声も出ている。(SANKEI EXPRESS

ランキング