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国際包囲網 エボラすり抜け 米の初患者、病院ずさん対応で帰宅 18人と接触
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8月8日、スイス・ジュネーブでエボラ出血熱感染について記者会見する世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長=2014年(ロイター) 米国内で初めてエボラ出血熱患者が確認され、衝撃が広がっている。患者は西アフリカのリベリア国籍の42歳の男性で、訪米する直前に感染者を病院に搬送したという。しかも、男性が最初に受診したテキサス州ダラスの病院はリベリアからの渡航を伝えられたにもかかわらず、抗生物質を投与しただけで帰宅させていた。男性は米国内で子供5人を含む少なくとも18人と接触。米疾病対策センター(CDC)は、接触者を監視下に置き、国内での感染拡大阻止に全力を上げている。今回の事態は、世界各地へのエボラ熱の飛び火を防ぐことがいかに困難かを改めて浮き彫りにした。
米メディアの報道によると、男性は米国に住む家族に会うため9月19日にリベリアの首都モンロビアの空港を出発。ベルギーのブリュッセルからワシントンを経て、20日にダラスに到着した。24日に発熱や腹痛、嘔吐(おうと)の症状が表れ、26日にテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院で診察を受けた。この際、看護師に渡航歴を伝えたが、病院側はエボラ熱を疑わず検査や入院などの措置を取らなかった。28日になって症状が悪化し同じ病院に搬送され、30日に感染が確認された。隔離病棟に入院し治療を受けているが、病状は重篤という。病院側は「渡航歴の情報が共有できていなかった」などと釈明した。
男性は9月15日にリベリアでエボラ熱に感染した妊婦を病院に搬送するのを手伝ったといい、この時に感染した可能性が高い。妊婦は翌日死亡した。
CDCは男性の感染が確認されたのを受け、米国内での接触者を洗い出し、男性の親族のほか、医療スタッフら18人の健康状態を監視している。
テキサス州のリック・ペリー知事は1日、記者団に「子供が患者と接触しており、自宅でエボラの兆候が出ないかどうかモニターしている」と語り、州の医療当局者は「現時点で感染が疑われる例は州内にない」と明らかにした。
エボラウイルスは空気感染せず、患者の体液や吐瀉物(としゃぶつ)に触れない限り感染しないこともあり、米当局は「封じ込め」に自信を示している。
だが、ロイター通信によると、リベリアのブラウン情報相は1日、「エボラ熱による危機が国際的な問題であることを示した」と語り、今回の事態に強く警鐘を鳴らした。
リベリアの空港では出国時に検査が行われているが、この男性はまだ発症しておらず出国を止められなかった。米CDCは「米国到着後に発症しており、航空機内で他の乗客に感染する恐れはなかった」と強調した。だが、米国内ではいとも簡単にリベリアで感染者と接触した男性がチェックをすり抜けたことに衝撃が広がっている。受診した病院の杜撰(ずさん)な対応も重なり、1日の米株式市場で株価が急落する大きな要因となった。
世界保健機関(WHO)は1日、エボラ熱による死者が9月28日までで3338人に達したと発表した。国際社会は、感染地域への支援活動に支障が出て事態をさらに悪化させる「渡航制限」には慎重で、国連安全保障理事会も9月18日に航空便の路線維持を求める決議を採択した。だが、米国内では下院のグレイソン議員がツイッターに「なぜリベリアからの訪問を許しているのか」と書き込むなど、空路による飛び火への不安が広がっている。(SANKEI EXPRESS)