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「奇跡の日」エボラ感染の米医師ら退院 未承認薬投与、ウイルス検出されず

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「奇跡の日」エボラ感染の米医師ら退院 未承認薬投与、ウイルス検出されず

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8月8日、スイス・ジュネーブでエボラ出血熱感染について記者会見する世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長=2014年(ロイター)  西アフリカのリベリアでエボラ出血熱患者の治療活動に従事し自ら感染した米国人医師、ケント・ブラントリーさん(33)と、医療スタッフのナンシー・ライトボルさん(59)が退院したと、入院先の米ジョージア州アトランタのエモリー大学病院が21日発表した。2人は健康を回復し血液検査でエボラウイルスが検出されなくなり、感染拡大の恐れはなくなった。いずれも臨床試験前の未承認薬の投与を受けていた。

 世界保健機関(WHO)によると、リベリアで投与を受けた医療関係者3人にも回復の兆しが出ている。未承認薬の効果とは断定できないが、有効な治療法がなく猛威を振うエボラの沈静化に光明が見えてきた。WHOも来月(9月)上旬に専門家による会議を開き、治療方法の確立を急ぐ構えだ。

 「2人は最初の被験者」

 「きょうは奇跡の日だ。生きて家族と再会できたことが本当にうれしい。神に感謝したい」

 8月21日に退院したブラントリーさんは病院内で会見し、妻のアンバーさんの手をしっかりと握り、喜びを語った。そして、「西アフリカの人々のためにエボラ出血熱の大流行が終わるよう、これからも祈り続けてください」と訴えた。

 ライトボルさんは(8月)19日に退院しており、夫のデビッドさんが「妻は闘病のため衰弱が激しく、休養して回復することが先決なので、プライベートな形で退院することが最善策だった」との声明を出した。

 2人はキリスト教系の人道支援団体の一員としてリベリアでの治療活動中に感染。今月(8月)上旬、一人ずつしか搬送できない特別医療機で順次帰国し、隔離病棟に入院していた。

 病棟の責任者ブルース・リブナー医師は「手厚い治療で2人は回復しており、検査の結果、他人に感染する懸念もなくなったため、家族の元に戻っても良いと判断した」と説明した。

 2人は帰国する前に米国とカナダの官民共同研究で開発された未承認薬「ZMapp(ジーマップ)」の投与を受けていた。ただ、投与時期が発症から1週間以上後と遅かったうえ、ブラントリーさんはエボラ熱から回復した抗体を持つ可能性がある少年から輸血を受けており、未承認薬が効いたのかは分からない。

 リブナー医師も「2人はまさに最初の被験者であり、率直に言って助けになったかどうかは分からない」と指摘。「今後も回復状況と副作用について監視を続ける」と述べた。

 リベリアの3人回復兆し

 一方、WHOは21日、リベリアでジーマップの投与を受けた3人に回復の兆しが出ていると明らかにした。2人は「著しい改善」が見られたという。WHOは(8月)12日に“苦渋の選択”として副作用の懸念がある未承認薬の投与を容認する方針を発表していた。ジーマップは安全性に加え、量産が困難といった多くの課題を抱えている。このため、WHOは専門家による会議を9月4、5日にジュネーブで開催することを決めた。

 「退院した2人には免疫ができたと判断してよく、西アフリカに戻って治療活動にあたっても感染しないはずだ。われわれは恐怖によって行動を制限されてはならない」。リブナー医師はこう語り、エボラ熱と闘う決意を強調した。(SANKEI EXPRESS

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