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【勿忘草】「エボラは呪い」

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【勿忘草】「エボラは呪い」

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ブルキナファソ・首都ワガドゥグ  エボラ出血熱の脅威が全世界に広がっている。今回の流行が始まったのは、ギニアなどの西アフリカ地域。もう4年近く前になる。西アフリカの小国、ブルキナファソに2カ月間滞在したときのことだ。現地在住の日本人からこう言われた。

 「病気になったら、病院に行ってはだめです」

 全国で一定水準の医療が受けられる日本人からすると信じがたいが、アフリカの小国に医療はあってなきがごとく。仮に、働き盛りの男性が正体不明の病気で死んだとする。ウイルスや細菌が原因であれば、看病する近親者にも感染が拡大してしまうだろう。

 国内なら、健康な壮年男性が死亡するほどの病気となれば、正体が調べられるだろう。感染性のものであれば隔離され、感染が広がらないような措置も取られるだろう。

 だが、アフリカではそうはいかない。首都ワガドゥグであっても、近代的な病院は数少ない。彼らの多くが頼るのは、集落の病院である。病院といっても、そこにいるのは西洋医学を学んだ医師ではなく、祈祷(きとう)師のような人物。そして、祈祷師は言う。

 「悪いことをした報いで、一族にも次々、不幸が訪れているのだ」と。

 感染症を呪い呼ばわりし、迫害を受けるとあらば、誰も病院に行かない。かくして、こうした病気は隠される。適切な医療を受けられず、気づいたときには感染は広がってしまっている。

 今回、流行が広がっているのはまさにそうした集落だ。外から入ってくる医療関係者は、まず彼らの信頼を得て正しい知識を教えるところから始めなければならない。困難な作業だが、その困難に立ち向かう医療者が全世界にいることに頭が下がる。もちろん、日本からも複数の医師や看護師が、現地で医療活動を行っている。

 アフリカ滞在の経験を持つ厚生労働省担当記者として、この数カ月間「エボラは国内に入ってこないのか? 大丈夫なのか?」と聞かれ続けている。

 その問いに答えるとすれば、こうなる。「入ってこない保証はない。しかし、日本の医療水準は高く、国民には病院に行く習慣もある。だからむやみに広がることはない」。警戒は必要だが、恐れ過ぎてはいけない。(道丸摩耶/SANKEI EXPRESS

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