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医療費抑制なら保険料引き下げ 特養 国保改革案 都道府県に効率化促す

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医療費抑制なら保険料引き下げ 特養 国保改革案 都道府県に効率化促す

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医師の診察を受ける患者。厚労省は医療費抑制のため市町村への積極的な取り組みを促す=2014年1月7日、兵庫県内(袖中陽一撮影)  厚生労働省は29日の社会保障審議会の部会で、市町村が運営する国民健康保険(国保)を都道府県単位に移管した後も一律の保険料とせず、医療費の抑制や保険料の納付率向上への取り組みを保険料額に反映させる案を示した。努力次第で加入者の保険料を下げられるようにすることで、都道府県と市町村に積極的な取り組みを促す狙いがある。

 現在の国保は各市町村が運営し、保険料額も財政状態によって異なる。運営を移すことにより規模を大きくして財政基盤を安定させるとともに、各都道府県が医療の効率化に主体的に関わることも期待されている。厚労省は年内に移管の具体策をまとめ、2015年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

 厚労省案では、市町村が集めるべき保険料の総額を都道府県が「分賦金」として割り当てる。市町村はそれを基に加入者から保険料を徴収し、都道府県に納める。分賦金は人口や医療費、年齢構成、所得水準によって調整して決まる。

 各市町村が住民の健康づくりに力を入れて医療費を削減すれば、分賦金が下がる。都道府県が立てた目標より納付率が高ければ、1人当たりの保険料を安くできる。

 都道府県は地域ごとの課題に合わせて、病床の見直しや自宅で暮らす高齢者を支えるための計画を立て、年間にかかる医療費の見通しを計算する。計画が順調に進んで医療が効率的に提供できるようになれば、都道府県全体として医療費を抑えることができる。

 厚労省が国保の保険料額に納付率や医療を効率化する取り組みを反映させるのは、増え続ける医療費に歯止めをかける役割を、都道府県と市町村にこれまで以上に求めるためだ。

 国保の慢性的な赤字体質は深刻だ。厚労省によると、1人当たりの医療費は健保組合の14万4000円に対し、国保は31万6000円と2倍に上る。加入者の年齢が高いことが医療費を押し上げる原因となっている。一方の保険料収入は、加入者の所得水準の低さや納付率低下で振るわず、年3000億円規模の赤字を抱える。

 今回の案では、医療の効率化を都道府県が、保険料を集める事務や健康増進の事業を市町村が担うと明確化。取り組みが奏功して保険料が安くなれば、地方自治体には良いPR材料になる。

 厚労省幹部は「今の保険料額は本当にこの水準でいいのかが、加入者に分かるようになる」とも指摘する。仮に納付率が高くても医療費が膨張すれば保険料は安くならない。都道府県と市町村が果たすべき役割を連携して発揮しているか、住民に対する「見える化」の効果もありそうだ。

 ≪特養 相部屋代、月1万5000円徴収 在宅支援に重点≫

 厚生労働省は29日、介護サービスを提供する事業者に支払われる介護報酬に関し、来年度の改定で特別養護老人ホーム(特養)向けを引き下げる方針を固めた。利益率が高く、多額の内部留保を抱える事業者があるため。厚労省は、できるだけ施設に入らず自宅などで生活できる環境整備を進めたい考えで、報酬を在宅支援サービスに重点的に配分する。

 特養の相部屋については、部屋代相当分が介護保険で賄われているのを見直し、入所者に負担を求める。この日の社会保障審議会分科会に正式提案した。月額1万5000円程度で調整する。低所得者に配慮し、住民税非課税の世帯は免除する。現行1万円の自己負担の光熱水費も、一般家庭を参考に約1000円引き上げる。

 介護保険の財源は1割が利用者負担で残り9割の半々を税金と保険料で賄っており、特養の報酬が下がれば、それぞれが低減される。

 厚労省の調査では、定員30人以上の特養の利益率は8.7%で他のサービスと比べて高水準だった。財務省は、全国の特養で計2兆円の内部留保があると問題視しており、他のサービスも含めた報酬全体で大幅なマイナス改定を求めている。

 厚労省は、特養のほか利益率の高い通所介護などの報酬を引き下げる一方、在宅生活を支える「24時間地域巡回型サービス」などに手厚く配分したい方針で、財務省の求める大幅引き下げには慎重だ。年末の予算編成に向けて調整を続ける。

 相部屋代として利用者から1万5000円程度の負担を求めるのは、2万5000円~5万円を払う個室利用、在宅の高齢者と不公平さがあるためだ。特養の利用者は個室を含めて約52万人おり、うち約8割は非課税の世帯だ。(SANKEI EXPRESS

 ■特別養護老人ホーム 特別養護老人ホーム 介護保険が利用できる施設で「介護老人福祉施設」とも呼ばれる。介護が必要な高齢者が暮らし、食事、入浴、排泄(はいせつ)介助などのケアを24時間体制で受けられる。厚生労働省によると、昨年10月時点で全国に約7860施設あり、9割超を社会福祉法人が運営。希望しても入れない待機者が全国に約52万人おり、厚労省は来年4月から入所は要介護度3以上を原則とする。

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