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【エコノナビ】病気予防にも診療報酬を

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【エコノナビ】病気予防にも診療報酬を

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 「ピンピン元気に長生き、死ぬときは家族に迷惑かけずにコロッと」。多くのお年寄りが願う“ピンコロ”をかなえたいと、長野県佐久市のピンコロ地蔵など、長寿地域にある地蔵や寺には高齢の参拝者が絶えない。

 だが、現実はなかなか厳しい。厚生労働省が10月1日公表した2013年の調査によれば、介護の必要がなく健康で生活できる期間と定義する「健康寿命」は男性が71.19歳、女性が74.21歳。これに対して平均寿命は男性が80.21歳、女性が86.61歳。健康寿命は平均寿命よりも男性は9.02歳、女性は12.4歳短い。つまり、男女ともおよそ10年間は医療や介護の世話になって死ぬ人が多いのである。

 国は健康寿命が延びると、高齢者の自立や就労が促されるほか、財政を圧迫している医療、介護費用の削減にもつながることから、地方自治体や企業を巻き込み、健康診断の徹底や体操教室など、あの手この手の健康寿命延伸策に躍起になっている。

 発表された健康寿命はそうした努力の上での冷徹な現実である。そこで、次に考えるべきは健康保険制度における発想の転換ではないだろうか。

 病気になってから、健康保険が適用されるという現行の制度を見直し、医師らが率先して地域の病気予防に貢献した場合にも保険が適用されるようにすべきだろう。その方が薬代を抑制でき、医療費の総額も減るはずだ。

 慢性病に対して、食事や運動を指導するのではなく、すぐに薬を処方する医師が少なくない。人手不足から必要のない入所者にまでおむつを着けさせ、かえって認知症を進行させてしまう介護施設の事例も報告されている。そうした本末転倒の事例を改善していかないと健康寿命は延びない。

 大和総研の石橋未来研究員の「英国の医療制度改革が示唆するもの」と題した14年3月の調査リポートによれば、英国は医師らが地域ぐるみで住民の病気予防に取り組んだ場合にも診療報酬が支払われる制度を作ったという。患者本位の視点に立てば、病気予防に対する診療報酬制度の実現は当然の帰結であろう。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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