ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
経済
【エコノナビ】鼓童と米経営大学院がつくる「未来の学校」
更新
新潟県・佐渡島(佐渡市) 佐渡島と聞いて野生復帰が試みられているトキや歴史遺産の金山などを思い浮かべる人も多いだろうが、伝統芸能や音楽に興味のある人がいの一番に挙げるのはプロの和太鼓打ち集団の「鼓童」に違いない。前身の「佐渡の國鬼太鼓座」を経て1981年に誕生した鼓童は国内外で数多くの公演をこなし、高い名声を博してきた。
その鼓童の活動の中で、演奏公演とともに重みを増してきているものがある。地域おこしや人づくりである。メンバーらが佐渡に移り住み、その地に根を張っていく中で、地域住民らと「共感、響働」しながら、徐々にその役割を担うようになった。1997年に鼓童文化財団を設立、人づくり、地域おこし、芸術文化の振興、国際交流の4つの柱で活動を行っている。
廃校を利用した合宿所で寝食を共にしながら、和太鼓をたたく実技や、農業実習などを通して、日本の伝統芸能や文化を学ぶ。不便だけれど豊かな自然に囲まれて生活する中で、国内外から訪れる人たちは互いに学びあい、アイデアを出し合って考え、何かを得て戻っていくようだ。
そうした活動にまた新たな可能性が加わった。米コーネル大経営大学院と伊藤忠ファッションシステム(東京都渋谷区)の「ifs未来研究所」と共同で「次世代リーダー育成」のための体験型研修「未来の学校」プログラムを、2015年より実施するという。
同大学院SGEセンターの唐川靖弘シニアマネージャーによれば、「持続可能な企業に求められるリーダーとは。そのリーダーを育成するにはどうするか」をテーマに異なる分野の企業から参加を募って、問題発見力や問題解決力を磨いてもらうのだという。
同文化財団の菅野敦司専務理事は「外からアイデアを得てやっていくというのは鼓童のDNA。外からきてもらって地域に還元してもらえれば、地域づくりに貢献できる。地元の産業興しにもつながるだろう」と期待を語っている。
経営大学院と太鼓打ち集団のコラボレーションから何が生まれるか、大いに楽しみだ。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)