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【エコノナビ】霊感商法まがい…高齢者の資産に群がる

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【エコノナビ】霊感商法まがい…高齢者の資産に群がる

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 「幸運を呼ぶネックレスはいかがですか」「由緒正しい香炉ですよ」

 「こんな言葉で商品を売り付ける商法とは」と尋ねられれば、すぐに思い浮かぶのは霊感商法の類いだ。しかし、今ではそうしたセールストークを大手百貨店の外商までがすると聞いて驚いてしまった。

 そんな話をするのは知人の高齢のお年寄りの女性。お金持ちでその百貨店ではVIP待遇を受けている。女性が言うには、最近の1カ月だけでそれぞれ50万円の宝飾品3点計150万円の買い物をしたという。

 この女性は買い物に行く度に百貨店の特別室に案内されて、勧められるままに買ってしまったと後悔し、憤慨しているのである。

 業界に詳しい知人は、もし、百貨店側がそんな強引な売り方をして、顧客からクレームが来たら、売った側は担当を外されるか、配置換えになるはず。そんなVIP対応はあり得ない、と疑問視する。

 その高齢の女性は百貨店側に苦情までは言っておらず、トラブルにまでは発展していないようだ。しかし、女性に「断る勇気を持ちましょう」と諭すだけで済む問題でもないだろう。

 日本には約1500兆円の個人金融資産があって、その6割を60歳以上の高齢者世帯が所有しているとされる。この「宝の山」に群がるのはオレオレ詐欺といった犯罪集団から金融業者や不動産業者などのまっとうなビジネスまでさまざま。

 国民生活センターの2013年末のまとめによれば、65歳以上の高齢消費者トラブルは6年連続で増加、相談全体の3割に上っている。商取引上における商品情報などの非対称性を考えれば、十分な配慮を求められるべきは業者側であろう。

 その高齢女性によれば、百貨店に行くと窓のないVIP専用の部屋に通されて商談となるそうだ。そんな場所ではなかなか断るのは難しい。百貨店側は、顧客からの要請があって初めて商品の説明をするなど、霊感商法まがいといわれないような矜持(きょうじ)が必要ではないか。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS

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