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【Q&A】「混合診療」拡大へ 選択肢広げ患者負担軽減

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【Q&A】「混合診療」拡大へ 選択肢広げ患者負担軽減

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経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議であいさつする安倍晋三首相(左)。「混合診療」拡大案の取りまとめを指示した=2014年4月16日、首相官邸(共同)  安倍晋三首相が「混合診療」の拡大案をとりまとめるよう関係閣僚に指示しました。

 Q 混合診療とは何ですか

 A みなさんが病気やけがで病院に行くとき、窓口に保険証を出しますよね。これは公的医療保険を使って受診するためです。かかった医療費は、一部を窓口で支払い、残りは保険で賄われます。これに対し、公的保険で認められていない治療は「自由診療」と呼ばれ、保険がききません。自由診療と保険がきく診療を組み合わせることが混合診療ですが、国は一部の例外を除いて禁止しています。

 Q 禁止とは

 A 混合診療をした場合、本来は保険がきく通常の検査代や入院料も含め、全額を自費で支払わなければいけなくなるのです。自由診療だけ全額を自費で支払い、他の部分に保険を使うことはできないのです。

 Q なぜですか

 A 自由診療は、飲む薬が安全かや、治療に効果があるかが確認できていないからです。保険診療との組み合わせを認めると、根拠の分からない治療を助長する可能性もあります。自由診療が広まれば、所得が高い人だけが受けられる医療が拡大してしまうとの指摘もあります。

 Q 全額自費になると負担が重いですね

 A 例えば、がんや難病などの治療に取り組む人が、新しい薬や治療法を試したいと思っても、公的保険がまったく使えなくなるので、支払う医療費は一気に増えてしまいます。患者の負担を減らし、治療の選択肢を広げるべきだとの意見もあります。

 Q 混合診療が認められる「一部の例外」はどういうものですか

 A 国は現在、審査が済んだ一部の先進医療などで混合診療を認めています。「保険外併用療養費制度」といって、先進医療は全額自費ですが、他は保険が使えるのです。4月現在、がんの重粒子線治療など96の技術が登録され、計1235カ所の医療機関で受けられます。これらの治療は、将来、保険適用するための評価段階という位置付けです。

 Q 拡大案として検討されているのはどんな制度ですか

 A 政府の規制改革会議は、いまの制度では患者のニーズに対応できないとして「選択療養」(仮称)という仕組みを提案しました。患者が選んだ自由診療を幅広く認め、保険がきく診療と併用できるよう求めています。将来、保険適用することを必ずしも前提とはしていません。

 Q 反対もあるのですか

 A 厚生労働省は慎重派です。安全性を重視し、対象を増やすとしても実施できる病院は限定すべきだとの立場です。「有効だと分かれば、多くの患者が少ない負担で利用できるように保険の対象にする」という基本的な姿勢も強調しています。政府は6月にまとめる新たな成長戦略に結論を盛り込みたい考えで、直前まで調整が続きそうです。(SANKEI EXPRESS

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