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あすから家計負担9万円増 好景気と綱引き

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あすから家計負担9万円増 好景気と綱引き

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消費税増税前最後の休日、千葉市の複合商業施設「三井アウトレットパーク幕張」は大勢の家族連れらでにぎわった=2014年3月30日午後、千葉県千葉市(三尾郁恵撮影)  4月1日から消費税率が17年ぶりに引き上げられる。税率は現在の5%から8%になり、ほとんどのモノやサービスの価格が上昇する。4月以降は、医療費の増額や年金減額といった社会保障制度の見直しも重なり、暮らしの負担はズシリと重くなる。一方で、経済環境の好転を受けて、今春闘では賃上げの動きが広がり、企業の一部は価格据え置きで積極的に売り上げ増を目指す。日本経済が厳しい春を乗り切れるか、景気の好循環と負担増の綱引きが始まる。

 増税、医療費…

 第一生命経済研究所の試算によると、消費税増税に伴う2014年度の家計負担は13年度より平均9万円増える。標準的な年収650万円の世帯の場合、負担増は11万8000円だ。賃上げにより、年収が13年度と比べて約2%に当たる10万2000円増えたと想定しても、差し引きで1万6000円の負担増となる。

 さらに4月以降はこの試算には含まれていない社会保障関連の負担増がめじろ押しだ。

 医療費は4月以降、新たに70歳になった人から順次、窓口負担が1割から2割に引き上げられる。診療報酬の改定により、4月以降の初診料は120円、再診料は30円上がる。また、国民年金と厚生年金の支給額が4月から0.7%減る。国民年金の満額受給者は月475円の減少で、その分、家計のやりくりが厳しくなる。政府の試算では、消費税増税分と厚生年金保険料の引き上げや年金の減額を合わせた14年度のトータルの家計負担は9兆円程度に膨らむ。

 ベア・配当増に緩和の芽

 一方、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」によって、こうした負担を和らげる芽も出始めている。大手企業を中心に復活した賃金のベースアップに加え、円安などによる業績改善で、東証1部に上場する3月期決算企業の2014年3月期の株主配当総額は、過去最高の7兆円規模に達する見込みだ。

 もっとも、新たな負担増はこの先も続く。消費税増税法では消費税率は15年10月に10%に引き上げられる。高所得層への増税も予定されているほか、軽自動車税は15年4月の新車購入分から乗用車の税額が1.5倍の1万800円に上がる。相次ぐ負担増にも失速しない景気の強さを保てるのか、アベノミクスは正念場を迎える。(SANKEI EXPRESS

 【4月以降に予定される税金や社会保障の負担増】

復興特別税………………6月から個人住民税が年間一律1000円増額、10年間

初診料、再診料…………4月から初診料は120円増、再診料は30円増

高齢者の医療費…………4月以降70歳になる高齢者の窓口負担が1割から2割に

高校無償化の所得制限…年収910万円以上の世帯は対象から外れ、年約12万円の負担増

公的年金減額……………国民年金と厚生年金の支給額が4月から0.7%減り負担増に

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