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子供たちがヒントを得てくれたらうれしい 映画「美女と野獣」 レア・セドゥさんインタビュー
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「たくさんの子供たちに見てもらいたい」と語る、フランス人女優のレア・セドゥさん=2014年9月5日、東京都港区(寺河内美奈撮影) 恋愛ファンタジーの金字塔として世界中の人々に愛されてきた「美女と野獣」が実写映画化された。フランスの民話を題材にビルヌーヴ夫人(1695~1755年)が1740年に執筆した同名の物語をベースとしている。ヒロインのベルを演じたのはフランスの人気女優、レア・セドゥ(29)だ。
最近、映画「007」シリーズの次回作でボンドガールへの起用が報じられ、男性ファンを喜ばせたばかりだが、逆に「美女と野獣」では「多くの子供たちに見てもらいたい」との思いが強い。セドゥは「私は大の子供好きなんですよ。子供たちがベルの心の成長を見て、何らかの生きるヒントを得てくれたら、うれしいですね」と期待を込めた。
少女ベル(セドゥ)は、バラを盗んだ父親の罪を背負って、恐ろしい野獣(バンサン・カッセル)が主として暮らす城に閉じ込められてしまう。だが、野獣の要求といえば、毎晩夕食を共にすることだけだった。ほどなくベルは野獣の隠れたもう一つの顔に気付きはじめる。
本作(独仏合作、クリストフ・ガンズ監督)は、ベルの父親の運命に焦点を当てたジャン・コクトー監督(1889~1963年)の実写版「美女と野獣」(1946年、J・L・ド・ボーモン原作)とは一線を画し、ベルが大人へと成長していく姿の描写に力が注がれている。セドゥは子供の鑑賞者を念頭に「ベルが運命の犠牲者ではなく、強い意志を持って恐怖と闘うことができる女性だということを常に意識して、撮影に臨みました。もちろん恐怖の象徴は野獣です」と、作品への強い意気込みを語った。
セドゥはベルと野獣に成立した主従関係が次第に変化していくところが面白いという。「ベルは自分の言動が野獣に影響力を持つと発見するわけです。確かフランスの哲学者、ジャック・ラカン(1901~81年)の言葉に『自分が支配できる主人を探せ』とありますが、ベルはまさに実践したわけです」。セドゥ自身は人の心を支配することに長(た)けている方だろうか。水を向けると、「すべての恋愛関係において人間は影響を与え、与えられるものです。それが普遍的な恋愛関係だと思います」とかわし、苦笑いを浮かべた。
日本では「草食男子」「肉食女子」なる言葉が流布していて、男性が恋愛に臆病になったと言われて久しい。セドゥの恋人探しに対する考えはこうだ。「一般論で語ることができないものが恋愛です。結局は個々人の内面の問題なんですよ。恋愛を通して生きることを学んでいく。そういう性質のものですからね」。ただ、自分なりに実践してきたとも受け取れる“処方箋”も披露してくれた。「代わりがきかない人を見つける努力が必要です。もし恋人ができたら、その人の不思議な部分やコンプレックスも含めて愛することが大事なのではないでしょうか」
若い時分は、とかく「見た目第一」で本能の赴くままに、恋人争奪戦の大海原にこぎ出し、辛酸をなめることも多い。
「インターネット社会が助長しているのかもしれませんが、今は特にイメージ重視の時代になってしまったと思えてなりません。イメージにばかりとらわれてしまい、時代そのものが見せかけの美しさを追いかけている感さえあります。イメージばかりを追いかけていたら、誰も彼もみんな似てきてしまいます」。セドゥはこんな警鐘を鳴らしたうえで、本作を通して、自分の恋愛観や愛の捉え方をもう一度、じっくりと見つめ直してほしいと考えている。11月1日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
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