SankeiBiz for mobile

所在不明の子供なお141人 厚労省2908人追跡調査

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

所在不明の子供なお141人 厚労省2908人追跡調査

更新

所在不明の子供たちはどこに?=※写真はイメージで、実際の不明児童とは関係ありません。  住民票の住所におらず学校にも通っていないなど、18歳未満の所在不明の子供が、10月20日時点で22都道府県に141人いることが13日、厚生労働省が行った初めての調査で分かった。5月1日時点で2908人が報告されていたが、出国記録や関係部署の情報共有を進め、大幅に減少した。ただ、141人の中には自治体が「虐待の恐れがある」と判断した子供も4人含まれていた。

 所在不明となっているのは男子75人、女子66人。未就学児61人、小学生40人、中学生27人、それ以上が13人だった。地域別では大阪府が27人で最多。兵庫県26人▽神奈川県16人▽東京都14人と続いた。72人は外国人家庭の子などで、すでに出国したとみられる。

 所在不明の子供の虐待事件などを受け、厚労省は4月から調査を開始。各自治体が5月1日時点で報告した2908人の確認を進めてきた。その結果、1185人(約41%)は海外へ出国していたことが判明。乳幼児検診などを行う母子保健部門と、児童手当や生活保護を担当する福祉部門、教育委員会などで情報を共有し、親族や近隣住民などへも調査を行い、1582人の所在を確認した。

 不明児の中には、ドメスティックバイオレンス(DV)から逃れるため住民票を移動していない例もあるとみられる。厚労省と総務省、文部科学省は、児童手当などの住民サービスを受けながら住民票がない子供を見つけたら、保護者の許可を得て転出元の自治体に連絡するよう通知を出す。

 ≪「虐待の芽を摘む」 鍵は自治体連携≫

 厚労省が行った初の実態調査では、自治体の部局間の連携があれば虐待の芽を摘める可能性があることを示した。幼い子供が犠牲となった経験を持つ自治体では、今回の調査以前から再発防止策を進めており、一定の成果を上げている。

 組織に「横串」通す

 「今のシステムなら問題が洗い出され、事前に発見できたかもしれない。それが悔やまれる」

 愛知県豊橋市の子育て支援課の担当者はこう話す。豊橋市内では2012年9月、アパートで女児=当時(4)=が衰弱した状態で見つかり、死亡。両親の育児放棄が原因だった。

 市が異変を察知できる機会はあった。女児は乳幼児検診を受けておらず、小学校に入学しているはずの兄も未就学。それぞれ所管する保健所や市教委担当者による家庭訪問では接触できなかった。一方、両親は児童手当を受給、定期的に市役所を訪れていたが、所管する子育て支援課は子供が所在不明という事実を把握していなかった。

 この反省に立ち、市では乳幼児検診、就学、予防接種、児童手当受給の有無など、バラバラだった担当部署の情報を一元化。イントラネットで情報を共有できるシステムを整備した。乳幼児検診を受けず、接触困難な家庭を重点的に訪問する「ハイリスクケース」専任の保健師数人も配置した。現在も所在不明の子供が1人残るが、担当者は「組織に“横串”を通し、必ず確認するまでやるという意識が大切。決して難しいことではない」と話す。

 DV調査に課題

 昨年4月、虐待を受けて女児=当時(6)=が死亡する事件が起きた横浜市でも今年度から部局間の連携を強化。所在が確認できない子供が外国籍の場合は入国管理局に照会したり、戸籍から親族を把握して調査をしたり、生活保護受給家庭に含まれていないかなどを調べてきた。5月1日時点で143人だった所在不明の子供は3人にまで激減した。

 課題も見えてきた。ドメスティックバイオレンス(DV)が原因で親子で別の自治体に移転した場合、住民票を元の住所にしておくケースが多い。しかし転出先が分からないと調査が難しく、居所が分かっても自治体同士が連絡を取り合うと、配偶者に居所を知られたくない親子の不安は増す。

 横浜市は「情報を仲介する第三者がいれば、自治体名を明かさず『今いる自治体で元気でやっている』という情報を共有することができる」と指摘する。(SANKEI EXPRESS

 ≪国がシステム創設を≫

 ■医師でNPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」の山田不二子理事長(54)の話 「所在不明児が半年で大幅に減少したことは自治体の成果といえる。今後は先進的な取り組みを行う自治体を基準にした上で、国が所在不明児の『情報管理・照会システム』を創設するなどし、現住所を特定せずに、自治体間での安否確認を可能にする仕組み作りが必要ではないか」

ランキング