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糖質が健康に果たす大切さ 大和田潔

 2000年シドニー五輪の女子マラソンで日本人初の金メダルを獲得し、国民栄誉賞も受賞された高橋尚子さんが大食漢であることは有名です。シドニーオリンピックの朝は、お餅を2つに加えご飯も食べていたそうです。普段から、たくさん食べてたくさん走っていました。彼女を支えた小出義雄監督は、筋力と心肺機能を増加しながら体重を落としてレースを戦うという方針でした。休日に「肉を1~2キログラム食べてきた」「すしを数十貫食べてきた」と答えたという笑い話がご本人から披露されています。体重が増えなくても、胃に入った食べ物の重量だけで何キログラムもあるのですから監督も怒りたくなることでしょう。

 けれども、彼女はレースを勝ち抜き、オリンピックで優勝しました。現在でも、ランニングの講習会を積極的にこなしています。いろいろな食事のレシピを集めたサイト「Cookpad」の記事で彼女は語っています。「ひじき、納豆、レバーの3種類」は必ず食べていて、「走ることと食べることは同じぐらい重要だった」と。

 食事を食べない、あるいは、糖質を完全に抜いてしまうというダイエット方法をされている方もいらっしゃるかもしれません。運動を定期的にされている人にとって、食事を制限することは得策ではありません。運動の持久力は筋肉に蓄えられたグリコーゲンや、体に蓄えられた脂質に支えられています。ガス欠にならないためには、糖質を含む適切な栄養補給が必要です。

 定期的に運動を続けていくためには、「糖質を体に充填(じゅうてん)しては運動をする」ということを繰り返すことが大切です。SANKEI EXPRESSでも書評にとりあげられた拙書「ごはん好きでも必ず痩せられる! 炭水化物の新常識」でも触れました。無事、第4刷を重ねているのは、どうやって持続していったら良いのだろうという疑問に答えているからかもしれません。

 所属する東京医科歯科大学の「スポーツサイエンス機構」に、トップアスリートの室伏広治さんが教授(センター長)として就任されることが同窓会誌で告知されました。食事と運動。健康に過ごしていくための必須要件である2要素の融合こそが、健康長寿のカギとなります。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS

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