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出口なき人種対立再び 米黒人青年射殺 大陪審、白人警官を不起訴
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破壊され、放火されたパトカーに近づく警官隊。白人警官の不起訴が発表されると、ファーガソン市警前では抗議する住民と警官隊が激しく衝突した=2014年11月24日夜、米ミズーリ州(ロイター) 米中西部ミズーリ州ファーガソンで今年8月、丸腰の黒人青年のマイケル・ブラウンさん(18)が白人警官、ダレン・ウィルソン氏(28)に射殺された事件で、地元大陪審は24日、ウィルソン氏を不起訴処分とした。市内では、これに反発した黒人住民らによる暴動が発生、ジェイ・ニクソン州知事(58)が非常事態を宣言した。検察側は厳しい大陪審の守秘義務を押してウィルソン氏の証言内容を明かすなど異例の情報公開を行ったが、暴動は事件発生以来最悪の規模に発展。米国を覆う出口の見えない人種対立の根深さを改めて露呈した。
事件を管轄するセントルイス郡検察のロバート・マクロク検事は大陪審の判断について、「全ての証拠を精査した結果、殺人などの罪で起訴するに至らないとの結論に達した」と述べた。審理は計25日間の長期に上ったとしている。
ただ今回の大陪審をめぐっては当初から、公正さを疑問視する見方が示されていた。事件が起きたファーガソンは黒人住民が圧倒的に多いが、白人警官の起訴の是非を判断する大陪審(12人)は郡全体の人種比率に応じて白人9人、黒人3人で構成された。米紙ニューヨーク・タイムズは社説で、大陪審の12人は公正さを示す義務があるとした上で、「先入観を差し挟むことは許されない」と早くからくぎを刺していた。
こうした指摘も踏まえ、マクロク氏は不起訴処分決定後の記者会見で、目撃者60人から聴取、監察医や銃の専門家から話を聞いたことなどを45分かけて説明。しかし、マクロク氏は幼少時、警官だった父親を黒人に殺された過去があり、「マクロク氏は事件の担当にふさわしくない」とする住民側の反発を覆すことはできなかった。
こうした不信感もあり、大陪審の結論が発表されるとの情報が出回った24日午後の早い段階から、市警前には住民らが続々と終結。「正義なければ平和なし」「(警察官を)刑務所に」といったプラカードを掲げ、にらみ合いを続けた。不起訴処分が発表されると、直後には黒人住民ら数百人が投石を始め、警官隊が催涙弾で応じるなど激しく衝突。銃声が響き渡る現場では警察車両が破壊され、商店では略奪や放火が発生した。ロイター通信によると市内で12以上の建物が炎上し、少なくとも29人が逮捕された。
米CNNテレビは、幹線道路が住民によって一時封鎖されたと伝えた。地元の司法・行政機関の周辺には州兵が配置されている。
射殺事件は8月9日に発生。ブラウンさんが歩道を歩くよう警官のウィルソン氏に注意され、口論となった後、ウィルソン氏が少なくとも拳銃を6発発砲した。目撃情報からブラウンさんは丸腰で、両手を頭の後ろで組んで無抵抗の姿勢を取ったとみられるが、地元警察はブラウンさんが警官を殴り、銃を奪おうとしたと主張している。
炎天下、現場に遺体が約4時間放置されたことへの批判も強く、事件後に黒人住民らが激しい抗議を展開。略奪行為も起き、人種対立の根深さが露呈した。鎮圧に当たった警察が必要以上に重武装だとして「軍隊化」との反発を招き、事件の波紋は全米に広がっていた。
バラク・オバマ大統領(53)は24日夜、ホワイトハウスで記者会見を行い、「米国は法治国家であり、大陪審の結論を受け入れる必要がある」と国民に自制を要求。射殺されたブラウンさんの両親も「(大陪審の結果に)失望しているが、平和的に抗議してほしい」との声明を出したが、ニューヨークやロサンゼルスでは24日夜、数百人規模の抗議デモが発生し、混乱は全米に飛び火している。(SANKEI EXPRESS)