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やすらぎとぜいたく 合理的な価格で カンデオホテルズ 「朝食・ベッド・バス」に自信
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CANDEO_HOTELS千葉のエントランス。ラグジュアリー感あふれるつくりが特徴だ(提供写真) 合理的な価格で、シティホテルのようなやすらぎとぜいたく感が味わえるホテル。これが創業10年で全国11棟1657部屋までに拡大した「カンデオホテルズ」のコンセプトだ。その立地戦略と顧客感度ナンバーワンをめざすサービス精神は徹底している。こだわり抜いた朝食、ベッド、展望風呂でビジネスマンだけでなく家族客、外国人観光客の心もつかんだ。この12月に福岡市天神地区、来夏には愛媛県松山市内に新ホテルをオープンさせる。
「出張で低価格はいいけれど、寝るだけというのはわびしい。かといって何万円もするシティホテルをいつも利用するわけにもいかない。単なる宿泊に特化したビジネスホテルと差別化して、シティホテル並みにやすらぎとぜいたくさを感じていただける中間領域のニーズが必ずある、と確信して素人ながらホテル事業を立ち上げました」
こう語るのは「カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント」(東京都港区)の穂積輝明社長だ。穂積社長はリクルートのグループ会社時代に、外国人向けサービス・アパートメントや高層ビルを中小企業などに小割りして貸すサービス・オフィスを手がけたことがある。
土地取得から建物の建設、オペレーションまで一貫したビジネスの経験から、的確な立地戦略とマネジメントができれば、ホテル事業には大きな可能性があるとみて2005年に創業した。
当時はまだ不動産市況が過熱気味だったため、まずは地方都市のニッチな場所を狙って、1号店は熊本県の「大津熊本空港」、3号店は静岡県島田市などだった。このあと、市況の波を見ながら大都市への立地へ移り、東京・上野、千葉市から今度は福岡市、松山市の中心部にホテルを構える。いかに家賃の固定費を抑えて、オペレーションの工夫で利益率を上げていくかがポイントなのだ。
穂積社長が強調するのが「顧客感度ナンバーワン」のサービス精神だ。創業にあたって穂積社長は自分で全国のホテルを泊まり歩いたという。そこで得た結論が「お客さんは、朝食、ベッド、お風呂(バス)の『3B』でホテルの評価を決める」というものだった。
ベッドは、社員みんなでテストして、心地よさで「これが一番」の評価が一致したシモンズ社製を選んだ。通常のビジネスホテルと違った「ワンランク上のスタイリッシュなホテル」の実践だった。部屋も一般のビジネスホテルより広く、シングルルームでもダブルベッドが基本。価格は朝食付きで1泊1人平均8500円と、合理的だ。朝食は、創業当初は特製のスープとパンだった。自信作だったが、男性客に「物足りない」と嫌われた。その後、バイキング方式に変えたが、顧客の声をくみ取って実にこれまで7回も形式を改善している。現在は北海道の海産問屋と提携して新鮮でバランスのとれた60品目ものメニューをそろえる。格別の心配りのひとつが豆腐だ。専門店とタイアップして従業員が毎朝、手作りする。
入浴施設はほぼホテル最上階に露天風呂つきの大浴場が設けられている。黒のタイルを基調とした、広々としたスペースは、ロビーなどとともに、とてもビジネスホテルとは思えない高級感が漂う。
≪平日はビジネス客、週末は観光客≫
「カンデオホテルズ」の顧客は、ビジネス客と、家族客、外国人観光客がそれぞれ3分の1を占める。平日のビジネス客には「少し高くても疲れがとれてゆったりとした気分になれる」と評判がいい。一方、週末は家族連れや観光客でにぎわう。「一泊数万円もする高級ホテルや旅館よりも割安で、展望風呂などぜいたくな感じは十分味わえる」というわけだ。
穂積社長は「最近は、ビジネスから観光需要にシフトしつつある。外国人観光客が伸びているのに加えて、元気なシニア層のお客さまも増えている。これからますます大事になるのは、お客さまの気持ちの一歩先をつかむ、思いやりと察しのサービスです。それには、日本人の“和の心”をもっと生かす必要があると考えています」と話す。
12月17日には、ジェイアール西日本不動産開発と事業提携して福岡市天神地区に建設した12号店がオープンする。「『3B』にさらに磨きをかけるとともに、ホテルの内装からインテリア、照明にいたるまで日本の良さを表現したものにしました。サービスを含め日本人の洗練された感覚を生かしたホテルをめざしたい」と穂積社長は語る。今後は、独自戦略と「和の精神」をもって香港やシンガポール、ジャカルタなどアジアでの展開も視野に入れている。(SANKEI EXPRESS)
カンデオホテルズ www.candeohotels.com