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世界の家庭料理巡り イギリス&ドイツ編(下) ビールで盛り上がる食の祭典

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世界の家庭料理巡り イギリス&ドイツ編(下) ビールで盛り上がる食の祭典

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ドイツ・バイエルン州ミュンヘンで開かれるビールと食の祭典として知られる「オクトーバーフェスト」の会場。テント内は飲んで歌って踊る人たちで大騒ぎだ=2014年9月25日(獨協大学_有志学生記者、斎藤悠輔さん撮影)  【Campus新聞】

 ヨーロッパ最後の訪問国はドイツ。今回の旅のハイライトの一つである、毎年9月から10月にかけて開催される世界最大規模のお祭りで、ビールと食の祭典としても知られる「オクトーバーフェスト」に参加するため、バイエルン州のミュンヘンに向かった。

 自家製もちもちヌードル

 お供は、ミラノで仲良くなったリビオ。イタリアからお金がなくなってしまい野宿生活を続けていたが、優しいリビオは、自宅からテントと寝袋を持ってきて一緒に野宿をしてくれることになった。フェスト期間中、ホテル代が3倍にも値上がりするため、世界中から集まる若者の多くは、同じようにキャンプ場にテントを張って野宿をするという。現地の人に聞き込み調査をして、キャンプ場を見つけることができた。

 ところが、テントを張り寝ようとすると、寝袋がない。

 「リビオ、寝袋どうした」

 「ない。なくした…」

 その夜は、酷寒のミュンヘンで震えた。残りの1週間どうやって過ごせばいいのか。途方に暮れていたが、神様は私たちを見捨てなかった。

 カフェでリビオに英語のレッスンを受けていると、隣に座っていた女性が私の発音を聞いてくすくすと笑い出し、それがきっかけで意気投合。話を聞くと、高校のときに日本に留学をしていたという。

 事情を話すと、「知り合いの家に泊めてあげられるか聞いてあげる」。その知り合いは、泊めてくれるだけでなく、ドイツのおふくろの味を作って食べさせてくれることになった。そういうわけで、さっそく、ドイツのおふくろの味をリポートする。

 今晩のディナーの献立は、かぼちゃのポタージュとヌードル、そしてビール!

 かぼちゃは、日本とは色も形も違う。仕上げに、かぼちゃのオイルで一味加え、ヨーグルトをトッピングするのがドイツ流。ヌードルも自家製だ。ボウルで小麦粉と卵、水を混ぜ合わせ、専用の調理器具に詰める。器具には穴が空いていて、レバーでその穴から生地を押し出し、沸騰した鍋で茹でる。できあがりは、太麺でもちもちしている。これにひき肉の特製ソースをかけて完成。もっちりした麺にソースがうまく絡まり、予想以上のおいしさに感動した。これまでの旅で味わってきた家庭料理の中で、トップ3に入るおいしさだった。

 地獄から天国へ。寝床を確保できたうえに、ドイツのおふくろの味も堪能できるという、奇跡のような出来事だった。

 よっぱらい天国…地元は

 そして、いよいよオクトーバーフェストへ潜入取材。この祭りに参加したくて、日程を合わせたほどのメーンイベントだ。

 そこで真っ先に食べたのが、「カリーヴルスト」。ドイツを訪れる前から、これだけは絶対に食べたいと思っていた料理だ。焼いたソーセージ(ヴルスト)にカレー粉とケチャップをかけただけのシンプルな料理なのだが、めちゃくちゃうまく、ドイツでも根強い人気がある。

 そして何と言っても主役は、ビール。みんながガバガバと飲んでいる1リットルの巨大なジョッキは1杯10ユーロ(約1400円)。けっこう高い。

 フェストのために作られた、この期間中にしか飲めないビールがあり、通常のビールよりもアルコール度数が高い。その理由は、客にどんどん酔っぱらってもらって、よりたくさんのビールを飲んでもらうためだという。実際、多くの来場者が、値段なんか気にせず、大量のビールを飲んで騒いでいた。

 会場には、ビールの銘柄ごとに巨大なテントがあるが、あまりにたくさんの人がやってくるので、夜には入場が規制されることも。

 テントの中央にはステージがあり、バンド演奏が行われ、ビールを飲みながら知らない人同士が歌って踊りまくる。友達になるハードルは低く、出会って3秒で仲良くなれる。

 「君はどこから来たの?」

 「日本です。世界一周しています」

 「すごいね! 一緒に歌って踊ろうよ!」

 こんな感じだ。

 一方で、地元の人からはこんな話も聞いた。

 「近年、オクトーバーフェスト期間中、ビールをはじめとするさまざまな物価が上がる。普段の2倍、3倍の値段を払うのはばかばかしいのでオクトーバーフェストにはいかない。それに、この時期は世界中から観光者が来て、酔っぱらってマナーの悪い人たちも少なくない。正直言って迷惑だ」

 お祭りがミュンヘンの貴重な収入源になっていることも、値段が高い理由のようだ。

 念願かない参加できたオクトーバーフェストだが、課題も多く抱えているようだ。地元の人も観光客も一緒に楽しめて、愛されるお祭りとして盛り上がり続けてほしい。(今週のリポーター:獨協大学 有志学生記者 斎藤悠輔/SANKEI EXPRESS

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